第12話

「あの。お頭……その前に一ついいですかい? だいぶ前に元聖騎士だという老人を牢屋へぶち込んだんでやすが……ひょっとして、お仲間だったでやすか?」

「え?! 本当に? きっと、その人は千騎士最強といわれた元四大千騎士の一人。ハイルンゲルトだわ」



――――



 それから、じめじめとした地下へと案内された。肌寒くて、学ランの上着がまだ乾いていないからか、くしゃみをした。

 俺は、マルガリータに小突かれながら盗賊団を率いて灰色の廊下の奥へと行くと、真っ暗な石造りの牢屋があった。中を盗賊の一人から手渡された松明で照らすと、門扉も壁も石でできていて一言でいうとかなり堅牢な牢屋だった。


 その牢の隅にある木でできた小さなテーブルに、ぐったりしている白い鎧の老人が両手を投げ出し顔を伏せていた。


「こりゃ死んでるなあ」

「もうここへ入れてから二年は経ってやすぜ」

「お頭……ここの鍵束でやす」

 

 などと、盗賊団が口々にいうので、俺は恐る恐る牢を開けると、老人にゆっくり近づいていった。マルガリータは廊下で白髪の老人を見張っている。

 牢の中は、廊下と同じ空気だった。冷たい石造りの地面に靴音が響く。


「あ、あの。ど……大丈夫ですか……? わ?!」


 俺は老人が気がかりで怖いけど小声をかけた。すると、右腕をがっしりと両手で握られてしまった。


 な、なんだ?!


 老人は俺の目をしっかりと見つめた。

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