第二部スタート  短編 神獣誕生編

第48話  再会

 

<エリサ、今日は何処へ行くんだよ?ナムラ砂漠のオアシスも周辺諸国も全部回ったぜ?>


「そう言ってもね~  週に一回の半日程度の時間で日帰りの出来るところなんて限られてるでしょう?」


 空を飛びながら、緩いウエーブのかかった薄茶色の髪を出に流し、大きな茶水晶色の目は地上を見つめ、大きく溜息をついた。


<どれもこれも、エリサが、魔法学の授業をボイコットしてるせいだぜ>


 西域のサントス神殿に来て二年。

 エリサは、巫女の修行を始めていたが、精霊が友達の彼女には、呪文で精霊を縛ることは良しとせずに、毎回魔法学の授業はボイコットしていたのだ。


 半ば呆れかえってるのが、彼女の祝福精霊の風の騎士、リカルドだ。

 色々あったが、今も二人は契約中なのだ。


 リカルドも、人間であれば16歳くらいで凛々しい騎士の姿の精霊である。(精霊であるために身体は透けている)

 短髪だが、金髪を思わせたし、瞳の色は青色っぽい。

 女の子受けしそうで力もある風の精霊なのに、今は事情があって、中位でとどまっている。


 その分、エリサの魔力が高いので、リカルドの力を限度まで引き出して飛行も可能なのだった。


「高く飛んでみて!天界があるかも」


 エリサの脳裏には、二年前に自分の目の前から天空に消えて行った光の神のことを思った。


<承知。でも、空の上に天界は無いぜ>


「あら、言ったような口ぶりね」


<まあ……な……あれ? なんだ?>


 隣で飛ぶリカルドの歯切れの良くない、返事にエリサは、「どうしたの?」と声をかけた。


<噂に聞くゲールの大岩に誰かいる>


「な~に~? そのゲールの大岩って」


<まだ魔族が大陸にいた頃に、助っ人とを喚び出す風習があったとか、無かったとか……異界の門と呼ばれているのがゲールの大岩>


 エリサは、一発で気に入ってしまった。


「そこに行きましょう!! リカルド、降りるわよ」


<だから、先客がいるって~~ 聞いちゃぁいねぇんだから~~>



 ▲▽▲




 ゲールの大岩__


 エリサの肩くらいの、のっぺりした岩が転がっていた。すぐ側に明らかに人間の手で作られたであろう石柱が立っていた。


 そこでエリサは、意外な人物と再会をした。


 向こうは、最初こそ驚いた顔をしていたが、直ぐに見惚れるくらいの笑顔で近付いて来てくれた。


「久しぶりですね、エリサ。元気でしたか?」


 15歳だった二年前よりも身長が随分伸びていた。

 銀色の真っすぐな髪と切れ長の瞳は、さらに神秘感を醸し出している。

 これで身体が、銀色に光ってれば二年前にティランだと偽って、いっしょに旅をした光の神そのものである。

 

(しまった~~)エリサは心の中で呟いていた。

 エリサの一番会いたくない人ランキングナンバーワンがティランだった。






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