エピローグ 

第45話  帰還  

 エリサが我に返ると、目の前には、枯れた花園が広がっており、地面には目を回して倒れている半透明のリカルドの姿があった。


「リカルド!! 大丈夫!?」


 <力の使い過ぎですわ。わたくしの力を最大限まで引き出したのです。人間ならば命を落としていたでしょう…… 身体を持っていかれ、下位に落とされたことで、何とか繋がっている命ですわ>


「風の奥方の名前を聞いてしまったわ。ここから帰らなきゃだし……」


 <もちろんですわ、わたくしを使いなさい。エリサ様>


「あ、あの人……」


 エリサは、光で目が眩んでいるらしいアヴィンの方を見た。


 <放って追い来なさいませ、どうせ死人ですよ>


「うん……」


 エリサにも初めからそう見えていたから、あえてアヴィンのことは相手にしていなかった。


 エリサは、風の奥方に魔法陣の呪文を教えてもらって、南の地へ帰ったのだった。




 ♦




 光の神殿は、エリサの帰還で神の存在が無くなったこと知って、大騒ぎになった。

 魔族は200年前に大陸から消えた。

 闇の神も消え、光の神も去った。


 未来を託された人間を手伝うようにと精霊たちは、生き続けている。


 これからは、誰が世界を引っ張っていくのか……。


 幾日も幾日も会議が開かれて、光の神殿プラス世界の三つの神殿が各国に号令を出すことで決まった。


 やはり神不在で、魔法使いの腕が落ちる者もいた。

 持っている精霊によっても力の格差が歴然としてきた。

 呪文を上手く操るものが台頭してくる時代が来たのだ。


 エリサは、光の神殿でアリシアに出迎えられ、今回の一件は、イリアスからの申し出たことだと聞いた。


 そこで初めて、ロイルのおさのミルドランに会い、カタリナの最期を伝えねばならず、それがとてもつらかった。

 母のアリシアは、ずっとそばにいてくれたし、レフもチョコチョコ顔を見せてくれた。この父母が、これだけいっしょの時間を共に過ごす方が稀なのだ。


「え~~!? ティランが意識不明って何時いつからなの?」


「ずっと部屋にこもって読書をしてたらしいのよ、気が付いたら意識がない状態で発見されたらしいわ」


 アリシアから、若長の状態の事を聞いてイリアスの言葉を思い出した。

 風の奥方に旅のことを探らせていると……

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