第42話  エリサ、スカウトされる  

「「なにをするのじゃ!!」」


 ゼナの花を摘んでは、花びらを山の上から撒くとい行為に夢中だった一つ目の怪人の神が、リカルドのしていることに気が付いた。


 花はゆっくり枯れていった。


われの花に何をするのじゃ!!」


「ゼナの花を使って、北の人間を支配する気か?この花は、この地には合わぬのに。幻覚をみたり、正常にまともな考えが出来ぬ人間が増えることになるぞ?それがそなたの願いか?」


 ディハルドがリカルドの所に到着する前に、イリアスは、人型に戻っていた。


「それこそわれの願い。そうなって、初めて人は我が力を信ずるのだ」


「そうか…… ではわれは、創世神との約束を果たさねばならぬ」


「何?」


「創世神、パキュア様との約束だ。そなたが事を起こした時には対処するとな」


「この世を守れと命じられたのは、あの方だと言うのに……」


 闇の神は悲しそうである。


「闇の神様!!銀の森の奥方だけは帰してあげて!!家族のみんな心配してるわ!」


「彼女はわれのことを分かってくれた久方ぶりの人間だった」


「闇の神様!!」


「イリアス、心臓を神剣で貫いたな?」


 イリアスは、静かに頷いた。


「そういう事だ。光の娘よ、神剣で急所を突かれれば、ちりとなるのみ。イリアスの究極の武器ぞ」


 エリサは、頭が真っ白になって何も言えずにへたり込んでしまった。


「おい、エリサ!!」


 金髪の青年が介抱した。


「ティランになんて言えば良いの?あなたのお母様は、北の地で人々を狂わせてたなんて……言えないわ……」


 エリサは泣き出してしまった。


 闇の神は、エリサに向かって謝って来た。


「すまぬのぉ、光の娘。そなたがを見出せば、また違った結果になったやもしれぬ」


「おいおい、スカウトしてんじゃないぜ!!」


 リカルドは、怒ってエリサの前に出ていった。

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