第40話  神剣アフレオス

「デュール谷の姫、いくつだ」


「13歳よ」


 イリアスの突然の問いかけにエリサは、首を傾げて答えた。

彼の問いの意味が分からないからだ。


「それは幼いな……でもそなたしか出来ぬことだ」


 イリアスは、申し訳なさそうに言った。


「えっ?」


 イリアスは、花畑の一角に歩いて行った。


「ここか……デュール谷の姫、こちらへ」


「うん? 何」


 エリサはイリアスの方へ走った。

 ディハルドがこちらを見ていた。


「娘よ、早く水を頼む」


「分かったわ、神様。リカルド雨雲を呼んできて」


 <了解、結構近くにあるぜ>


 やがて山頂に雲がかかり、ポツリポツリと小雨が降ってきた。

 ディハルドは満足そうに笑っているように見えた。


「ありがとう、光の娘よ」


「い、いえ……」


「エリサ、早く来るのだ!!」


 イリアスは急かした。


「イーリャ!! どうしたの?」


「雨を降らせてくれたことを礼を言う、地面が湿ってくれるからな」


「何それ?」


 雨が本降りになってきた。

 大粒の雨が、山頂の花畑に叩きつけた。

 アヴィンは、ディハルドに自由にしてもらって、花畑に肥料をやり始めていた。

 それを見守るディハルド。


「デュール谷の姫、我は今から神剣の姿に戻る。そうしての足元に思い切り、剣を突き立ててくれぬか?」


「どういうこと?」


「説明は後でしよう。カタリナを救う方法だ」


 続いてイリアスはエリサの頭上のリカルドにも語りかけた。


「姫だけでは、力不足だ。力を貸せ、風の騎士!!」


 <エリサにさせなくても良いだろう!!>


「ここに他に誰がいる……?」


 イリアスは、静かに言った。


 そうして銀色に光ると、エリサは一本の剣を手にしていた。

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