第14話  出会い

 エリサは、その少年を見て三度見してしまった。

 一つ目は、その少年が妹姫とそっくりの美少年だったことだ。

 いや…… 確実に姫より綺麗だ。

 姫と同じ銀色の瞳をしているが、髪までも銀色なのだ。

 癖が全く無い腰までとどく髪の毛、一見美少女だが少し肩幅が広い気がした。

 それで、男だと分かった訳だが、ジッと見てしまった。


 そして、幻の女の人にも似ている。


 そして、そして、この少年の頭上には、物凄く高位の精霊がいた。


 エリサは、いつの間にか幻の出てきた髪飾りを手にしていた。


 少年は、エリサの手元の髪飾りを凝視していたのである。


「……」


「あの……?」


「その髪飾りは何処で手に入れましたか?」


 声が思っていたよりも高かった。


「大叔母のお土産よ、アルテア製の細工物ですって。従妹とお揃いなの。

 従妹は可愛いから似合うけど、私には似合わないわ」


「二つで一つの髪飾りですよ、一つで使ったら可愛くもなるでしょう

 貴婦人の髪を結い上げた時に使う髪飾りです……その蝶の髪飾りは母上の物です」


 エリサは、驚いた。


「あなたのお母様って……」


「カタリナ・アシスです。五年前から行方不明の……」


 エリサは、色々な事がパズルのようにはまっていくのを感じた。

ここは、ロイルの長の屋敷だ。そして、目の前にいるのがきっと若長わかおさだ。

光の神殿は、物々しかった。

母のアリシアが、銀の森へ来ることになったのも、きっとこの為なのだろう。


 そしてあの時、この髪飾りから出た幻!!

そのことを若長わかおさに話すと、彼は驚いたことにエリサの手を取って歩き始めた。


「行きましょう!」


「何処へ?」


「大叔母殿がその髪飾りを買ったところへです。今日……今なら守役のジェドが留守です。その隙に行きましょう」


「でも若長わかおさ、ここの結界は強いんでしょう?」


「ティランです、デュール谷の姫。名前で呼んでくれなければ、僕も貴方のことをデュール谷の姫と呼びます」


 エリサは、顔を歪めた。顔も似ているが変なところで同じことを言ってくる兄妹だ。

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