第13話 エル・ロイル家
エリサとティランが、初めて会ったのは、エリサが光の神殿で神剣を抜いてしまい、光の神殿でも、エリサの扱いにはほとほと手を焼いていた時だった。
ロイルの
よもや、ロイルの
「セシーリーアン・エル・ロイルですわ」
セシリーアンは、上品に挨拶をする。
「私は、エリサーシャ・フレイドルよ、エリサで良いです。ロイルの姫」
「あら、あたくしがロイルの姫なら、あなたはデュール谷の姫ですわ」
エリサと同じ薄茶色のストレートの髪を腰まで伸ばした美少女のセシリーアンは、ニッコリと笑って言う。
それがまた嫌味なくらいに可愛らしい。
「あたくしのこともセシリーと呼んで下さらなければ、あたくしは、ずっとデュール谷の姫と呼びますわ」
同じ年だと聞いたが、変な姫である。
ロイル家の姫だったら……もっと、傲慢だと思っていたが、この姫はそんなところは全くない。
姫は、今三賢人から進められている、結婚話しついて悩んでいるとエリサに相談してきた。
エリサと同じ歳、(13歳で結婚?)
「大丈夫よ、おじいちゃまに断ってくれるように言っておくわ」
「でもアレクは、すごく乗り気でしたわ」
「姫の結婚を断わらないとエリサが生涯口を利かないと言ってやれば良いわ」
ロイルの姫は、心底安心したようだった。
♦
疲れたと言って、客間に通されたエリサである。
「リカルドの生まれた場所ってここなんでしょう?」
<そうだな。懐かしいな、アリシアと契約して以来だからな>
風の騎士の言葉を聞いて、エリサはベッドから飛び起きた。
「その場所に行こう!!」
窓を開けると勢い良く言った。
「飛んで!!リカルド」
<馬鹿か!!ここはロイルの
「普通に入って来たわ」
<招いた者しか入れねぇの!出てくのもいっしょ!結界の
エリサは、しばし考えた。
「見つけに行きましょう、その
風の騎士が答える前に、エリサは窓から飛び降りていた。
さすがに長の屋敷だ。屋敷も庭も広かった。
長の屋敷は、旧館と新館とに別れており、その間に大きくはないが、綺麗な庭園があった。
色とりどりの花が咲いていた。
隅っこの方には、薬草園とおぼしきものも植えてあった。
「リカルド、ここへは来たことがある?」
リカルドはドキリとした。
答えないでいると、エリサは突っ込みを入れてくる。
「あるんだ~?」
ニヤニヤと笑って、頭上を見てくるエリサに観念して風の騎士は言った。
<精霊になりたての頃に、ロイル家の姫と契約したんだ>
「ロイル家の姫と?」
<お前と似たような爆弾姫だったよ>
「人を爆弾扱いしないでよ!」
プ~ッとエリサの顔が風船のように膨らんだ。
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