第11話  神剣抜いた~

 エリサの身柄は、光の神殿に戻されていた。貴賓室の一角に何重にも結界を張られて、軟禁状態である。


光りの神殿に、騎士団の団長をしている父のレフが呼ばれていた。三賢人の祖父のアレクサスが、レフに責任を丸投げをしたのである。


「酷いよ、レフ。あんなに魔力のある子を谷に隠しておくなんて。

しかも、アリシアの娘なんだろ?アリシアも魔法使いの家系だから、おかしくはないけど……」


「お前みたいなのに、覗かれてるかと思うとヒヤヒヤしてたんだ!こっちは」


「大袈裟だな~~でも、学び舎での一件は、頂けないね~~ダドリー師は、カンカンだよ。他の生徒に悪影響しか与えないって!!」


「それは、そっちの都合だろう?大体、エリサをあおったのは、向こうと聞いてるぞ。……アリシアのいた頃は、あれでも大人しかったんだ。アリシアまで光の神殿に呼ぶから、エリサの手がつけられなくなったんだぞ!」


 レフは、本気で言った。


「ま~ま~そう怒らないでよ。危険がないか視てあげるから~~」


「それはやめれ!!恐ろしすぎて俺の心臓に悪い!!」


「そーなのぉ?面白いのにぃ~~」


 ジェドの言葉に、レフは、思いきりジェドを睨んだ。


「アリシアが、リーフスから戻って来るよ。そうしたら、落ち着くと思うよ」



♦️



 エリサは、軟禁部屋からの脱出に成功していた。水と風と大地を組み合わせた結界は、エリサの魔力を帯びた声の前には、無力だった。


「リカルド、姿を隠して」


<ヤバくねぇか?>


「へーきよ!早く、こんな所を抜け出すの」


 エリサが、神殿の出口と思われる方向に歩いていると、銀色の光が誘導するようにチカチカ点滅していた。


「何!?あの光?」


<あれ!!ヤバいって!エリサ!!>


 風の騎士には、見覚えのある光だったのでエリサを止めようとした。


 光は狭い扉の開いた部屋から漏れ出ていた。


<神剣の間だぞ!!>


「神剣?」


 エリサは、頭上のリカルドを見て不思議そうな顔をした。


<聖なる光の神、イリアス・エル・ロイルの剣の姿だよ。

神代から、この姿か、人型をとって世の中を流離ってるらしいぜ>


 狭い部屋の祭壇に神剣は、祀られていた。

規則的に銀色の光を点滅させていた。


 祭壇の下には、十数代の歴代の魔法鍛冶師の作った魔法剣が、納められていた。


 エリサは、導かれる様に神剣の方に行った。


<エリサ!!ヤバいって!!>


リカルドの声も聞こえていなかった。


 神剣の間に張ってある結界をものともせずに入った。


「ねぇ、呼んだ!?」


『我の娘を探してくれ……』


 神剣を手に取ると、謎の声がてエリサの頭に直接聞こえてきた。


「誰の事!何を言ってるのか分からないわ?」


 エリサが、鞘から刀身を抜くと、鮮やかな銀色に輝く剣が現われた。


「こっちです!!こちらから声が!!」


 しばらく後に、神剣のアフレオスを抜いているのを神官達にバッチリ目撃されたエリサである。

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