第8話 光の神殿
デュール谷の結界が壊れて谷は、大混乱に陥った。
人の世に蔓延る悪いものを一切、受け付けて来なかった谷の人達は、香木を焚いて家の中に閉じ籠ることしか出来なかった。
事態の深刻さに光の神殿は、素早く対応して神殿所属の魔法使いをかき集めるだけ集めて、さらに神殿公認はぐれ魔法使いまで呼び寄せて、結界の修復に取り掛かったのである。
その結果三日で結界は、元のように直されたのだった。
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エリサは、根っこの縄で縛り上げられたまま、転移して知らない場所にいた。
目の前には、ミジェーリアの着ている服と同じような服を着た、男の人や、女の人が何人かいた。知ってる顔が一人いた。
エリサがその人に向かって話しかけようとした時に、一人の男の人がエリサに向かって話しかけてきた。
淡い金髪と、銀色の瞳の人好きのする笑顔で、
「本当に、君があのデュール谷の結界を全部壊しちゃったの?」
「おじさん、誰?ここは何処?なんでおじいちゃまがいるの」
人々の視線は、アレクサスに集中した。アレクサスは、コホンと咳払いをして言った。
「孫のエリサーシャ・フレイドルじゃ」
「もしかして、アリシアの娘ですか?彼女もある意味伝説だからな~~」
アレクサスの言葉に、話しかけてきた男が反応した。
「おじさん、母様のこと知ってるの?」
「うん、僕は、ジェダイン・ロイル。ジェドで良いよ。君のお父さんとお母さんとは、学び舎の同級生だったんだ」
ニッコリ笑って言うジェド。
「アレクサス様、酷いですよ。こんなに魔力のある子を結界の中に隠しておくなんて」
「それはだな~~世間に出すには、まだ早かろうと思って……」
賢人の威厳が吹き飛んでいた。
「それより、正しく魔法が使えるように学び舎入りを勧めます」
「そうか……予見師のお前がそう言うなら……」
エリサには、弁明の機会さえ与えられず、学び舎とやらに放り込まれることになった。
「おじいちゃま~~母様は?」
「自分の父が、風邪を引いたと呼びつけられておってな。全く、ひとり娘など嫁に貰うものではないわ!!」
リーフス王国の神殿に勤務する二流魔法使いの母方の祖父とは、面識は無かった。
アリシアは、レフから奪った風の精霊で、ロイル姓を取り戻していたようである。
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