第2話
「それでは今日から半年間、トレーニングを受けてもらいます。私はマネージャーの鈴鹿です。よろしくお願いします。」
とスーツの男が言った。それに続いて、
「柔道、剣道、弓道、槍術、などを習得してもらいます。その前に基礎体力を測定させてもらいます。まずは持久走。」
「え~、めんどくえー!」と颯
「それじゃあ5000mを走ってもらいます。よーい、ドン!」
「ふぅ。つかれた。」と颯
「あ~やっぱりお兄ちゃんにはかなわないや。」と渚
「で、俺らのタイムは?」と颯
「...13分10秒と13分50秒...。早い...。」と鈴鹿
「で、どうなの?」と渚
「合格です。」と鈴鹿
「では次は反復横跳びです!それじゃあ、開始!」と鈴鹿
「まだ休んでもねえのに!」と颯
「よーい、スタート!」
「はっ、はっ!さすがに疲れる!」と颯
「この鬼!って鬼は私か!あはは!」と渚
「で、結果は?」と颯と渚
「60回と59回。合格です...。もうあなたたちに基礎テストは無意味ですね。実技指導とまいりましょう。まずは柔道!郷田先生、お願いします。」と鈴鹿
「私から一度でも一本とれたらもう免許皆伝だ。まぁ、それは難しいだろうが。じゃあ、はじめよう。」
「そりゃ!」
と颯が襟と帯を持って郷田を持ち上げそのまま宙に投げた。「どーん!」という音と共に郷田は倒れこんだ。
「これでどうだい?」と颯
「いててて。確かに一本と言えば一本だが...。ちょっと私はこれ以上指導ができないな...。」と郷田
「じゃあ、私は?」と渚
「渚さんには次の剣道で試させてもらいます。」と鈴鹿
「私は剣道師範代の柳生と言います。殺す気でかかってきてください。」
「わかった!いっくよー!」
と渚が防具越しに喉元に突きを放った。それは防具をも押し曲げて喉元に届いた。
「ぐおっ!はぁはぁ!お前はわしを殺す気か!」と柳生
「だって殺す気で来いって言ってじゃん!」と渚
「.........」
と声が出ない鈴鹿だった。
この調子で弓道、槍術、と全てを軽くこなしていく二人だった。
「では、最後です。私とCQCで戦ってもらいます。」と鈴鹿
「CQCって何?」と渚
「近接戦闘です。主に軍隊などで用いられるものです。ではまいります。初めは颯さんから。」
「おう!わかった!」
と颯が答えて戦闘が始まった。
「お?なんだか変な攻撃の仕方だな。こういうやつは手を一本取らせて、こう!」
と、手を鈴鹿に取らせそして体を一回転させその回転であごに蹴りを入れた。ガクっと鈴鹿が落ちてしまった。
「おい、鈴鹿さん、大丈夫かい?」と颯
「あぁ、もうあなた方にはかなわない。やるだけ無駄だとわかった。もう実践配備だ。」と鈴鹿
「まぁ、私たち体育の成績だけは満点だったしね。」と渚
「そうそう。でも記録を出すと変に疑われるから手を抜けと親父とお袋に言われてただけだからね。」と颯
「ぐぬぬ...。恐るべし鬼の子。」と鈴鹿
それからしばらく皇居ができるまで皇居の警備にあたった。
「しかし暇だね、お兄ちゃん。まだ桃のほうが良かったんじゃない?」
「そうだな。桃のほうがいいかもな。それよか俺たちの武器が鉛の警棒ってのが納得いかない。俺はクラウドが持ってたようなバスターソードが良かったのに。」と颯
「私だってエアリスのようなマジカルロッドが良かったわよ。」と渚
「ちょっと皇居がどんなものか見てみたいね。」と颯
「私も見てみたい!」と渚
「しかしどうやって中に入るかね?」と颯
「私にいい考えがある!」
「あのー、すいません、私たち今後天皇皇后両陛下の護衛にあたるものなんですが、その際に中の様子を把握しておかないといざという時に逃げ道の確保などができないと思うんですよ。ですので、中の方を拝見させていただけませんか?」
と渚が皇居建設の警備員に尋ねた。
「ああ、君達が噂の。本来、皇居は立ち入ることは出来ないんだが、そういう理由があるなら仕方あるまい。中の様子を少しだけ見ておいてください。」
と警備員が言った。
「ありがとうございます!」
「ね?上手くいったでしょ?」と渚
「お前、そんな権限使ってたら本当に捕まるぞ?」と颯
「それより中を見ようよ!」と渚
二人は中の様子を見に行った。
「すげー。平屋で馬鹿でけー。」と颯
「見て、庭なんてすごい日本庭園よ?この五重の塔とかと調和を取るような感じになってる。」と渚
「まあ、天皇皇后両陛下は贅沢したくてやってるわけじゃなくてあくまで『させられてる』からしかたがないんだよね。苦労が多いと思うよ。それを税金云々言うのはどうかと思うよ。」と颯
「まあね。国の象徴だからね。」と渚
「さて、また持ち場に戻るか。」
そう言って二人は持ち場に戻った。
時は経ち、9月中旬、まだツクツクボウシがなく頃。
「そろそろ天皇皇后両陛下がご入居されるようだね。」と渚
「そうか。ついにその時期が来たか。」と颯
岡山県総社市には厳戒態勢が敷かれ、鬼の兄妹は天皇皇后両陛下のSPより少し前の位置に配備されることになった。
「お前らの話は聞いている。なんでもあの鈴鹿にCQCで瞬殺だったらしいじゃないか?頼りにしてるぜ?」
とSPの一人が言った。
「はい。私たちなら何にでも盾になり得ます。」と颯
「お国のためならば!」と渚
「ははは!若いのに威勢がいいな!頑張ってくれ!」
「はい!」と二人
「さて、天皇皇后両陛下がお見えになった。気を抜くなよ!」
お車からお手を振られる両陛下がお見えになられた。その姿を一度見ようと観衆のボルテージもマックスだった。歩道沿いには何十キロも人の列で皆、日本の国旗を振って天皇皇后両陛下をお待ちしていた。
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