第9話

「いいかい、詩音ちゃん?音を観る者はその力を使うことによって若干の闇を帯びてしまうのさ。そこで夢堂は長い間力を使いすぎでほとんど闇落ちしている。完全に闇に落ちてしまえばもう人としての思考はなくなるのさ。そこで夢堂は考えたのさ。各地に闇の化身を分散させ、それを詩音ちゃんに消滅させて自分を浄化させるということを。夢堂自身は今の詩音ちゃんの光は眩しくて当たると消滅してしまう。だから方々に闇を置いて、詩音ちゃんに闇を帯びさせるのが目的なんだ。ま、今の詩音ちゃんに多少の闇なんて効きもしないけどね。」


と宇都宮が語った。


「なんで宇都宮さんはそんなに詳しいの?」と詩音


「音を観る界隈では普通の話さ。ただ詩音ちゃんに知らせることで闇を負わせることを皆恐れてるだけなんだよ。その宿命を背負った人間だからね。でも俺たちみたいなサウンドハンターも存在してて、弱い闇は自分たちで消していってる。だからその共鳴刀に反応するやつは強い闇なんだろうね。」


と宇都宮が続けて言った。


「それじゃあ、その夢堂に今、詩音が直接会えば全てが解決するんじゃね?」と亜斗


「やつもそんなに馬鹿じゃない。関東付近にいる事は確からしいが、やつは色で見えないんだ。普通の一般人と変わりがないんだよ。」と宇都宮


「じゃあ、どうやって見分ければいいの?」と詩音


「やつが力を使う時さ。その時にバカでかくどす黒い赤などの色が見えるらしい。」と宇都宮


「そうなんだ。じゃあこのまま共鳴刀に頼って旅するしかないね。」と詩音


「俺も詩音ちゃんや亜斗君についていくよ。その車では寝れるでしょ?」と宇都宮


「え?宇都宮さんも来るの?まぁ、戦力にはなるけども。。。」と亜斗


「じゃあ、俺はバイクでついて行くよ。今度の行先はどこだい?」と宇都宮


「あ、そうだ!共鳴刀を復元しなきゃ!」と詩音


「共鳴刀の復元、俺には難しいんだよな...ブツブツ...」と亜斗


「おい、亜斗、共鳴刀が難しいなら魔音刀ならどうだ?さっき倒したやつの闇でつくれるぜ?」と宇都宮


「本当?俺でも作れる?」と亜斗


「あぁ、多分こっちのほうが簡単なはずだ。要領はたぶん共鳴刀と一緒のはずだ。」


「やってみる!材料は?」


「この柄と鍔だ。やってみろ。」


「わかった!はーーーーーーーーーーー!」


メキメキメキと音を立て、刀が仕上がった。


「う~ん。これはなんというか青龍刀だな。」と宇都宮


「うん。中国っぽい。」詩音


「そう?俺的にはよくできたと思うんだけど?しかもこの形好きだね!」と亜斗


「魔音刀は共鳴刀よりは劣るけどもそれなりに威力はあるよ。それに作り方も意外と簡単。闇を倒したやつには作れる。」と宇都宮


「宇都宮さんが持ってる散弾銃は使えないの?」と亜斗


「ああ、あれは結構な闇を浴びなければできない。俺のように闇に対する耐性がないと無理だよ。」


「そっか。残念。」


「それより行き先どうする?共鳴刀なら二人が話してる間復元したけど。共鳴刀の破片でコンパスみたいにできないかしら?」と詩音


「それならあるぜ!音針盤。俺が使ってる魔音刀の破片より共鳴刀の破片の方が的確だと思うから針だけ取り換えよう。」と宇都宮


「これでこの先の旅は十分だね!」と詩音

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