第6話

「いいですか、詩音様、亜斗。共鳴刀を作り上げるには純粋な波動が必要です。その純粋さは刃の色に現れます。透明であれば透明なほど強力な刀となります。また、自分で込めた刀が最も自分と共鳴します。では、詩音様、やってみてください。」


「え?どうすればいいの?」


「純粋に刀の形をイメージしてそこに波動を入れてください。波動は声でも感情でも構いません。」


「わかった。はぁーーーーーーーーー!」


「キーーーーーーーーン!」


と音を立てものの見事に透き通った刃が形成された。


「さすがといったところですね。詩音様は100年に一度の逸材ですからね。」


「え?こんな感じでいいの?」と詩音


「詩音様に関しては何も言うことはありませんね。問題は亜斗ですね。亜斗、やってごらん?」


「わかった。はぁーーーーーーーーーーーーーーーー!あぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」


ググググっと音を立てこん棒のような白く濁った刀となった。


「やはり一般人の亜斗には難しいか。一度壊さないとな。この共鳴粉砕機で」


ボオン!と音が鳴り亜斗が作った共鳴刀ははピキーンと壊れた。


「なんで詩音の刀は壊れないの?」と亜斗


「それは詩音様の刀は純度が高くてちょっとやそっとの共鳴で壊れないからだ。詩音様、亜斗の手を握ってもう一度共鳴刀を作ってくださいませ。」


「いい、亜斗、いくよ?」


「OK!詩音!」


「はーーーーーーーーーーーー!」


と二人で波動を送り込むと刃は透明なものの形は少々ギザギザなものとなった。


「これはどう?九条さん。」と亜斗


「まぁ、合格かな?このギザギザが逆に相手にダメージを与えるかもしれないから。それに亜斗の波動も入ってるからちゃんと共鳴もしてくれる。安心しろ。」


「よっしゃ!」


と亜斗がガッツポーズをして喜んだ。そこで九条が


「我々が以前から研究して作ったものがある。これだ。」


銃を2丁出された。


「え?鉄砲?」詩音が少し驚いた。なんにせよ銃なんて日本でお目にかかることはそうそうないからである。


「そう。これは共鳴銃です。詩音様ぐらいのスピードで共鳴刀を具現化出来るのならこの銃弾のリロードもする必要もないでしょう。亜斗が使う場合には詩音様に弾を詰めてもらいなさい。一回のリロードで十発撃てます。」


「おおおお!すげー!かっけー!!」


と亜斗は飛びついた。無理もない。これくらいの歳の子には銃は憧れの代物である。


「しかしこの銃の構造はプラスチック製です。この日本で持ち運べるならそれぐらいじゃないと運べないからね。くれぐれも気を付けてくださいね。さてと、本題に入るとしよう。詩音様の命を狙っているものは夢童というやつです。詩音様と同様に色を操り、人も操ります。おそらくこれから全国で詩音様に手下をよこすでしょう。一旦、表の世界に戻りましょう。」


と言って表の世界に戻った。そこは清水寺だった。


「ああ、そっか。私たちここから入ったもんね。」と詩音


「ささ、ふもとに下って我々のアジトへ。」と九条


清水寺から下って、街の中をグルグルと回り、着いたら


「でっけー家!そしてでっけー蔵!」と亜斗が言った。


古民家で大きな蔵がある所であった。そして九条が蔵を開け、


「これに乗って行ってください。」


と、車を出した。それは大型のバンであった。中は広く、運転席後部は2段に別れている。


「ええ?私たち車、運転したこともないし、免許証もないよ?」と詩音


「俺は運転したい!」と亜斗


「運転は大丈夫。ほとんどコンピューター制御になっています。だから初心者でも運転できます。免許証についてはこれ。」


「え?私たちの免許証?」と詩音


「幼すぎやしない?ばれるんじゃね?」と亜斗


「警察に出会ったときは普通にこの免許証を出してください。何もなかったことのようになる波動が込められています。ですので大丈夫です。あと、これ、旅の資金です。どうぞ。」


「すごい。封筒が立つわ。」と詩音


「こんなお金触ったことがない。」と亜斗


「もちろん、無駄遣いはダメですよ。資金が尽きたら何もできなくなっちゃいますからね。大事に使ってください。」


「何から何までありがとう、九条さん!」と詩音


「いえいえ、これからの旅路の無事を祈ってます。とりあえず共鳴刀に従って進んでください。共鳴刀が鳴る方向へと。」


「ありがとうございました!それでは私たち行ってきます!」


「ご武運を!」


と言って詩音と亜斗は九条のもとから旅だつのであった。

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