第5話

「ここは?京都の街だけど全部が透けて見える。お寺も、ビルも、人も...。」と詩音


「ここは裏の、いわゆる影の世界でございます。この世界ではどのようなことも外界から干渉されることはありません。ところで詩音様、先ほどの戦いでなぜ敵に対して色彩変位をしなかったのですか?」


「ああ、気を取られていて。戦うことだけしか目に入らなかったのよ。」


「まず、あのガマの油の場合は色彩変位で緑に変えれば治療薬になったはずです。あと、たまたま敵の急所をついたからいいのですが、基本目を凝らして黄色と黒が点滅するところ。そう。あのスズメバチのような模様のところが急所になるのですよ。それを知らずして今後は戦えませんよ。」


「うぅぅ。。。反省しまーす。」


「あと、亜斗は不注意すぎる!あのカエルに飲み込まれて詩音様が助け出さなかったら死んでいましたよ!」


「あぁ、すみません。。。」


「まぁ、なんにせよ二人共、よく戦い抜きました。第一関門クリアですね。おめでとうございます。ところで共鳴刀の復元をしましょう。共鳴刀は柄からその持ち主のエナジーを取り出し、鍔で刃を形成していきます。その人のメンタルに大きく依存します。だから今は外界と接しないこの影の世界でゆっくりと一日過ごしてください。」


「そう言っても九条さん、私たちどこで寝ればいいの?」と詩音


「あの影の世界でビルになっているホテルはこの世界でも使えます。空いている部屋を使ってください。」


「空いてる部屋って、人が透けてていない部屋ってこと?」と詩音


「そうですね。透けてる人が気にならなければどこの部屋でも構わないのですが。」


「じゃぁ、最上階のスイートに泊まろう!」と亜斗


「私も!」


「まぁ、スイートルームは逆の意味で空いていますが。それではまず夜ご飯にしましょう。」


「やったー!」と詩音と亜斗


「さて、夕飯は京懐石です。特にオススメなのがにしんそばと湯葉です。」と九条


「わぁ!おしゃれ!可愛いたくさんの小鉢に色々入ってる!」と詩音


「う~ん。15の若者が食うようなものなのだろうか...。」と亜斗


「それにしてもずぶの素人が刀持って戦うのって普通考えられないよね?私たちニュータイプでもないのになんで戦えられたんだろう?」と詩音


「それはこの共鳴刀に古の記憶があるからです。かつての共鳴刀を振るった方も同様に戦ったからです。その記憶が残ってるんです。」


「で、なんで都合よく2本あんの?」と亜斗


「なんで2本あるかというと、代々使われてきた者たちは皆、二刀流だったからです。今回は幼いころから詩音様と一緒にいた亜斗が詩音様と共鳴しているから共鳴刀のお導きがあったんでしょうね。これ以上詳しいことはわかりませんが、神のご導きといったところでしょう。」


「ふ~ん。なるほどね。」と亜斗


「さて、お二人とも夕飯が済んだならもう今日はお休みなさいませ。明日は早いですからね。」


「は~い。」と二人。

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