第4話

そうして二人は京都へ向かった。共鳴刀は竹刀を入れる袋に入れて行った。さすがに公共の場で刀を持ち歩くのはちょっと厳しい。救われたことに共鳴刀は金属で作られてはいないことだった。


京都駅にて


「うわー!京都駅って凄い都会!こんなに大きいんだね!」


と詩音が言う。


「田舎者には刺激が強いなw」と亜斗。


「とりあえずどうしようか?その辺の神社仏閣に行ってみようか。」と詩音


「そうしよう。」と亜斗


しばらく街を歩いていたが、京都の街は複雑で迷ってしまった。


「どうする?スマホのGPS使って駅まで戻る?」と詩音


「う~ん。それも仕方がないかな。でもやみくもに探しても手掛かりがな...。」


と言ってると托鉢のお坊さんが歩いてきて


「貴女様は詩音様ではございませんか?共鳴刀の件を承っております。清水寺の方へどうぞ。」


「え?あなたは?」


「私は九条様の使いです。それでは。」


「九条?何者だ?」と亜斗


「わかんないけど、取り合えず清水寺までいこうか。」


そして二人は清水寺に向かった。


「しかし清水寺までのこの道だけで凄い人だな。」と亜斗


「そりゃあ、観光名所だからでしょ?」と詩音


「はぁ。ようやくたどり着いたな。しかしこの観光客だらけの中からどうやって探せばいいんだ?」と亜斗


「待って!来る!」


と詩音が言うと、周りが紫色に変わり、観光客が消えてしまった。そしてそこに現れたのがバカでかいカエルだったゆうに3メートルぐらいの高さがあるカエルだった。


「ゲコ、ゲコ!」


と言いながら背中の油を投げてきた。二人はそれをかわし


「あぶねぇ。なんだあれ?」と亜斗


「おそらくガマの油ね。普通だったら薬だけど、あれは本来の幻覚作用のやつだと思う。共鳴刀を構えて!」と詩音


「わかった。どうやって攻める?」


「とりあえず間合いを見よう。」


じりじりと二人が間合いを詰める。少し立ち入ったところでカエルが


「ゲーーーー!」


と舌を伸ばしてきた。サッと身をかわし後ろに跳んだ。


「近づけば舌を出し、遠ければ油を飛ばす。どうやって攻めればいいんだ?」と亜斗


「(お前さんたち、共鳴刀が濃紺になっている。それは恐怖の証だ。まずは落ち着いてみたらどうだ?)」


「誰?とにかく落ち着こう。色彩変位、オールブルー!」


「おお!ちょっと勇ましくなった!サンキュー、詩音!俺が囮になって引き付ける。その隙に詩音は後ろに回ってくれ!」


「わかった、亜斗!」


後ろに回り込んだ詩音はカエルの背中を切りつけた。だが、


「ああ!油で治癒をしている!こいつ自身には薬にもなるんだ!」


「(二人共、共鳴刀に呼吸と鼓動を響かせろ。詩音は亜斗の剣に。亜斗は詩音の剣に。そうやってしばらく戦ってみろ)」


「なんだ?よくわかんねーがやってみるか。」と亜斗。


しばらく戦いは拮抗した状態にあった。だがそこで亜斗が油を浴び、


「くっ!カエルが何重にも見える...。どれが本物だ...」


「亜斗!気を付けて!」


その瞬間にカエルの舌が亜斗にまとわりついた。そして二人の共鳴刀が桜色に変わった。


「亜斗!」


と言った途端に亜斗はカエルに飲み込まれていった。その間に共鳴刀を落としていった。


詩音は刀を拾い、カエルの腹の下へ滑り込んだ。そして


「二刀共鳴斬!」


と言って腹を切りつけた。するとブシャー!っと血が噴き出し、内臓と共に亜斗が出てきた。


「亜斗、大丈夫か?」


「ああ、もう少しで溶かされるところだったよ。ありがとな!」


こうしてカエルを倒した。すると血まみれだった体や、カエルの死骸などが消えてなくなった。


そして共鳴刀はパリーン!と割れて刃の部分が粉々になった。


「お見事、お見事。」


パチパチパチ。と拍手しながらやってくる者がいた。共鳴刀のない詩音と亜斗は戸惑いながら


「誰だ!?」


と叫んだ。すると


「私は九条。九条直人。共鳴刀の守り手の一人だ。先ほどはどれぐらい実力があるか確かめさせてもらった。初めての戦いにしては良い動きをするじゃないか、詩音様、そして亜斗。」


「さっき戦ってもらったのは私の式神だ。二人を試させてもらった。悪かった。とりあえず共鳴刀の復元の話をしようか。さて、清水の舞台から飛び降りるぞ!」


そう言って九条は清水の舞台から飛び降り、白く光る円の中に入っていった。


「亜斗、行くぞ。」


「ちょ、ちょっと待てよ。」


と二人も清水の舞台から飛び降りた。

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