第14話 あいつ、そんなにすごいか?

 今日、都市伝説系のYouTubeチャンネルを見ていたら、イーロン・マスクの息子の名前が出ていた。


 X AE A-Xii (エックス・アッシュ・エー・トゥェルヴ)

 本当は、数学かなんかの記号を使いたかったらしい。いや記号てアンタ。

 しかしキラキラネーム付けたがる親って、世界中におるんやなー。


 今や世界的な大富豪で、自動車会社テスラを世界的企業に育て、SNSから宇宙開発まで最先端を行く経営者、イーロン・マスク。なんか天才だの未来から来ただの色々言われている時の人である。

 しかし、もし私が直に対面できたとしても「ただの普通のおっちゃん」としか思わない自信ある。予言する、断言する。


 いやさ。東京にいたころ、大きなイベント会場でアルバイトしてて、芸能人も政治家も宗教教祖も、色々見てきたんだけど。

 体が大きく見えるだとか、一人輝いて見えるだとか、そんな経験は一度もなかった。むしろ「なんであんなんが偉いと思えるん?」ってくらい、全員が小さく見えた。

 映像化したら、人って大きく見えるものだしね。オーラなんてねぇよ。


 それに頭が良いとか悪いとか、それは人の性格とは無関係だ。

 前回「いろんな異性に襲われた」と話したけれど、その中には車椅子の障害者なんかもいて、私の中には『弱き者は善人』なんて定説すらナイ。そんな生まれつきも全部取っ払って、ぶっちゃけ善悪も取っ払って、性格傾向だけを見る。

 そうしていると、もうそいつが金持ちだとか偉業持ちとか偉い人だとか、全部関係なくなるんである。ある意味、不敬ではある。


 でもぶっちゃけさ、イーロンさんはすぐ友達になれる気がするんだよね。あの理系的で情緒の余地もない雰囲気の人、身の回りに多いうえにわりと好きだし。自分の常識に凝り固まって、やらかすところとか人間臭いし、それを失敗と思ってなさそうなところがまた面白いし。

 まあ「Twitter元に戻せや」という怒りは、横に置いてますけどー。


 人を『すごい』と思う感情は、推理小説の犯人に似ている。大抵の人は犯人を知ると本を読まなくなってしまう、『すごい』と思うと人そのものを見なくなる。

 だけど物語の醍醐味は、ラストに向かうまでの過程だ。犯人発覚なんて一冊の本のほんの数ページ分しかない、『すごい』と注目している部分だって、その人を構成する要素の数パーセントかも知れない。というか、数パーセントもないやろと私は思う。


 だから『あいつ、そんなにすごいか?』と思うのだ。

 その前にさ、なんていうか、おもろそうやん?

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