第12話 それとこれとは話が別
私には、実の弟と自称弟がいる。
自称弟は、たまたま職場で一緒になった上司というか、上の工程を行う人だった。敬語で話していたのがいつの間にか外れ、今は遠く離れた彼とメッセージでやり取りしている。
その自称弟と話していて、虐待の話になった。
私はさんざん言っているが、虐待されて育った。父は暴力、母は私を全否定。祖父もすごい怒鳴りつけてきたし、叔母も私にいろいろ八つ当たりしていた。
自称弟に語りながら思った。
なんかすげぇな、私の人生。昼ドラか。
そして、自称弟は慰めるようにこう送ってきた。
『でも、性的虐待はなかったからいいよな』
……そ れ ち が う。
あ、一応言っておく、軽いのならある。
風呂やたら覗いてくるとか、胸とかガン見されるとか、お尻がどうとかくびれがどうとか見た目をやたらいじられるのとか。
なんだろね、程度は軽いとはいえ、あんな思いするくらいなら『女』なんて性別捨ててもいいと思ってたね。てか、今も思ってる。私の性別、キモイ。
まあそれは置いといて。
性的虐待の有無とか、絶対別物だとおもうんだけどな!?
まず、どっちが悲惨とか、そういうランクはナイ。
虐待の何が一番問題なのかというと、自尊心を破壊することである。確かに性のトラウマも心がズタズタになるが、暴力も言動も子供の心を破壊するには十分だ。
そして、これがもっとも言いたいこと。
『女の子は、親兄弟以外の異性にも狙われるんだよ!!!』
私だって、近所の上級生、クラスメイト、見知らぬおっちゃん、さまざまに襲われたりストーキングされたりで本当に「女なんて捨ててぇええええええええ!」って悶絶していた。軽く書いてはいるけども、押し倒されたり庭に侵入されたり待ち伏せされたり、当時の恐怖といったらない。いやむしろ、よくそれだけヤバい状況にいて体守れたな、私!相手がバカで本当に良かった!!
※ちなみに美少女ではありません、デブです。
あれは本当にトラウマになった。
なにせ、小学校から中学卒業までストーキングしてくる奴もいたんだもん(近所の女の子全員にやってたらしい、彼はちゃんと逮捕された)。親にも頼れなかったもの、お前が誘ったんじゃろとか言われそうで。そういう事平気でいう二人だもの……。
自称弟には、こう伝えておいた。
『それは、女の子に言っちゃいかん。どの女の子も大抵狙われた経験がある』
本当にそうかは知らない。だけど、性的じゃなくてラッキーだね☆は絶対に違う。比べちゃいけないし、そのトラウマは家の外からもやってくる。
そもそもさ。
傷ついた内容を、アレより良かった、コレより良かったとランク付けはできないよ。もし目の前に「いや、私されました……」という人が現れたら、どう話を続けるの。ごまかすの?(自称弟は話しを逸らそうとした)逃げたら逃げたで、相手を傷つけることになりますよね?
何故何故と聞くのは別にいい。
でも、真に辛いという言葉に、慰めは効かない。
そして虐待も含めたトラウマというものは、どんなに前向きに生きていても、唐突に過去から襲い掛かって目の前を覆ってしまう。
知らないのに分かれとは言えないし、私も彼をそれ以上責めなかったけど。
知らないのなら、まだ傷の辛い誰かのために少しだけでも教えていこうと思った、今日この頃です。
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