第8話 気持ちが分かる人間は、人口のたった20%

【人の気持ちを分かる人間になりなさい。】

 そう言われて育った人は多いだろう。

 誰かに気持ちを踏みにじられるたびに、「人として最低!」なんて叫んでいる人もいると思う。


 残念だけどな。

 程度の低い人も含めて、人の気持ちを察することができるのは、全人類のたかだか20%なのだよ。

 分からなくて当然なんだよ、あなたのアピールがヘタクソか、相手がクズで俺様なだけ。


 トンデモ科学の話になるが、『HSP』という単語を知っているだろうか。正しくはHighly Sensitive Person、とっても感性のある人間、みたいな意味。

 人の心が分かるヒトというのは、この特性を持った人のことであり、それが人口の20%程度しかいないらしい。


 トンデモ科学といったのは、ある程度の統計はあるが根拠がなく、再現性も低い分野だから。科学を名乗るには、理解に足りる根拠と誰でも再現できるだけの理論が必要だからね。憶測交じりの統計に、科学の名は与えられないのですよ。


 とはいえ、HSPの特徴を持つ人は辛い。

 周りの雰囲気に疲れてしまったり、相手の顔色や声音で気持ちを察してしまったり、相手の負の感情が自分に乗り移ったかのように辛くなったり。とにかく現実が生きづらいのである。

 私もHSPの特徴持ちなので、例えば相方の背中を見ただけで「あ、機嫌悪そう」って辛くなったりする。職場でも相手の目線一つで「ああ、こいつ私の意見聞いてねえわ」てガン萎えする。

「私は優しいから、人の心分かるもん!」とか思っている人。その発言、恥ずかしいからやめなさい。そんな生易しいレベルじゃねえんだよ。


 精神を病む人には、HSPの特徴を持つ人も多い。

 そりゃあそうである。相手の気持ちが分かっちゃうってことは、変な話常に話しかけられてるのと同じだから。集中だって難しいのよ。仕事の効率下がるのよ。それで苦労してるのに、やれ出来が悪いだの効率が悪いだのとなじられる。お前が原因なんじゃ!心を無にしろ、できないのなら離れろ!!


 HSPという特徴がなぜ生まれるのかは知らないが、せめて少しの人にでもいいから「そういう苦労体質の人もいる」とご理解いただけると嬉しいですな。

 何度もいうが、優しいからHSPなわけじゃないから。こんな特性マジでいらんし、慰めの言葉もいらんけんな!!


 人の心は、分からないから良いのです。

 笑顔の裏の優越感とか独占欲とか、見たいか? ホラーだぞ??

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