第8話 Gossip Girl

「で、話を戻すけど」


 話がそれたので、めぐっちに電話をかけた理由に軌道修正。


「ホテルがあかんかったら、親戚の家にでも止まればええんやないの」


「なに言うてんの」


 返ってきたのは、強い口調だった。


「お金目当てで近寄ってくる親戚連中よりも、ひろっちの方が何百倍も信頼できるに決まってるやん」


「めぐっち……」


 記事を書いた張本人。


 恨んでいるだろうに。


「そら、ひろっちに預けるんも葛藤はあったんよ。アンタもマスコミやし、この騒動の原因の一端を担っているわけやし」


 それでも、めぐっちは私を信頼してくれた。


 ジワリと胸が温かくなる。


「厳しい処分が下されたわけやけど、愛衣にはこの期間に心を入れ替えてほしいねん」


「ん?」


 話題の転換。


 突然すぎて頭が切り替えられない。


「愛衣がやらかしたの、今回が初めてじゃないねん」


 そう言って話し始めたのは、高田愛衣――アイドルになってからの色恋沙汰。


 お世辞にも品行方正とは言えない彼女の行動の数々。


 清楚なイメージとは正反対の行動。


 何度も事務所が揉み消して来た数多のスキャンダル。


「言いにくいんやけど……ごめん、知っとった」


「せやろな。調べはついとるやろな」


 坦々と……いや、なにかを諦めたかのように言った。


 いくら溺愛する妹でも、恋愛面については頭を悩ませてきたに違いない。


 昔から高田愛衣はモテていた。同級生、先輩、後輩。


 年齢関係なく。


 みんなから愛されている高田愛衣。


 アイドルになるのは生まれながらの定めだったのかもしれない。


 だからといって、彼氏をつくっては別れ、毎回のように共演者を魅了してしまう。


 最終的には売れていない俳優と付き合い同棲してしまった。


 とうとう事務所は守り切れなくなった。


 女神と呼ばれる高田愛衣は、アイドル失格なのかもしれない。

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