第31話(2)

 ドガアッ!


「しまっ」

 振り抜かれた刀自体は避けたものの、衝撃波がモロに腹部へ激突した。


「ぐっ――!」


吹き飛ばされてグラウンドに軽々と転がされてしまう。その場で咳き込んで、視界がぐらりと揺らいだ。


「浅田っ……大丈夫か――!」


 砂埃で先が見えず、どうなっているのかわからない。浅田はまた穢れと至近距離に居たのだ。最悪の状態ではないことを祈る。なんとか立ち上がって煙をかき分け、少し先に浅田の姿を見つけた。


「浅田! けほげほっ」

 思い切り吸えたものではない。それでも思わず吸い込んでしまった。


「浅田、おい!」

 目は閉じられて意識がない。手首を触ると、詰めていた息を吐いた。脈はある。


「なんで急に……」


 どくん


「っ!」


 心臓を強く殴られたかのような衝撃とともに、全身の血液が大きく波打った。全身が熱くなり、地面と浅田の体が蜃気楼のようにゆらゆらして見える。


(やばい、意識が……)


 どくん


「うっ――はあ、はあっ……!」


 これは危ないやつだ、と脳が叫ぶ。しかし止め方など知らない。


 意識が朦朧として、制服の胸元をぐっとつかむ。頭が重く感じて、その場にうずくまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る