第10話

「ここが講堂で、中学から高校の一年から三年まで全員が入れるんやけど、最後に使ったんて……」

「三年前。校長が変わった時だな」


 校長先生は浄化師連盟の現在の代表でもあるらしい。今度会ったときに今日のお金のお礼を言わなくては。


 軽くお昼を済ませてから、約束通り学校を案内してもらっている。制服から楽な格好に着替えて。


 近畿校の生徒数は他三つの浄化師の学校より少ないらしい。中学、高校が合併でもこの設備はだいぶ贅沢だ。三階建てで一番上に大きな講堂、二階は教室とトレーニングルーム、一階は食堂と職員室、保健室、エントランスである。


 寮は高校棟と中学棟で分かれていて、一階は繋がっている。一階は洗濯機が複数台置かれ、男女別の大浴場がある。それぞれに鍵穴がついていて、一人一本鍵を持つことになっていた。二階は女子部屋、三階は男子部屋、四階はフリースペースだ。フリースペースには漫画や小説、テレビ、掃除機、キッチンなど何でも揃っている。


 ぐるりと校内を一周すると、それだけで脚が若干疲れてしまった。これではだめだと自室に戻って制服を眺める。これから浄化師としてやっていくためには、筋肉も体力も人一倍足りていない。


 今日から入学式まであと2日。


(トレーニングルームあったな……)


 それから2日はほぼトレーニングルームで一日を過ごしていた。1日目に隠岐先輩と鉢合わせして、トレーニングに付き合ってもらったあと、次の日も一緒にやってもらえることになった。確か、七先輩と呼ぶようになったのはその頃だと思う。


 流石に今まで鍛えてこなかった体だから、二日とも部屋に帰ったあとは泥のように眠ってしまった。ただ、七先輩からご飯はきちんと食べなさいと言われたので、基本的な生活はしっかり送っている。全身筋肉痛なのでお風呂のお湯が体に染み渡った。

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