第27話 『サンタの役目』/「冬の色」始まり
「冬の色といえば、何色?」
俺は思い浮かばず、答えられなかった。
「圧倒的に赤と緑だろ」
「なんで?」
「あぁ、クリスマスカラーね」
「そうそう」
普通の子は、冬の色といえば赤と緑なんだ。そして、赤と緑といえばすぐクリスマスが思い浮かぶものなのか。
チキンやピザ、ケーキが並んだパーティーをやって、プレゼントをもらう。そんな普通の家庭の子は。
「サンタをいつまで信じてた?」
「小一までかな」
「上に兄弟がいると気づくの早いよな」
「お姉ちゃんがプレゼントを枕元に置いてるのはパパだって教えてくれたけど、今も姉弟二人して、気づいてないふりしてる」
「知らないふりし続けないとプレゼントもらえなくなるもんな」
サンタなんていない。
小学四年生の俺らには常識だけど、みんな無邪気に「サンタさんがくる」と信じてる子どものふりしてる。
いや、お前らにはサンタがいるよ。
俺は心の中でだけ呟いた。
お前らに気づかれまいと、欲しがっている物をこっそりとリサーチして、当日までバレないように家のどこかに隠し続けて、プレゼントを開けた時の笑顔を見たいと思ってくれる人。
そんな人は、サンタだろ。
俺には最初からいないから。
両親はいるけど、サンタはいない。
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