第26話 散文詩『律』/「詩と暮らす」始まり
詩と暮らすと、詩が生まれた。
今までなんとなく「感じた」だけで通過していたものを言葉で表現してみたくなって。
詩と暮らすと、絵が生まれた。
今までなんとなく「見た」だけで通過していたものを描いてかたちに表してみたくなって。
詩と暮らすと、歌が生まれた。
今までなんとなく「聞こえた」だけで通過していたものを音の集合体にしてみたくなって。
詩と出逢うまでの僕は、僕自身を無感情な人間だと思っていたんだ。
誰かに熱をあげたり、何かに熱中して取り組むなんてことない人間だって。
周りによって影響を受けることなく、自律的に恒常性を保つことができる恒温動物たる哺乳類のヒトとして、お手本になるべき人間だってね。
詩と出逢うまでの僕は、周りから影響を与えられることを恐れていたのかもしれない。
誰かと暮らすことなんて、考えられもしなかった。
詩と暮らすと、奏が生まれた。
そう、僕らの娘。
詩と出逢うまでの僕は、律という自分の名前を「戒律」の「律」だと思っていた。
おきて。さだめ。いましめ。……そんな、律。
自分を律して生きることが、何よりも重要だと思っていたんだ。
だけど、今、「旋律」の「律」でもいいんじゃないかと思える。
韻律。調律。音の調子。……そんな、律。
詩と暮らすと、自由が生まれた。
そして、僕にも家族ができた。
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