物理系魔法少女、力技は最強
包み込む闇から脱出するために、拳を振るう。
「危なかった」
魔石がある状態と無い状態での強さの違いってのを俺は知らない。
だけど魔石を使っているから少しだけは強くなっている可能性がある。
だから魔石を見つけ出して破壊したいのが、それを闇の巨人が邪魔して来る。
「ふふ、逃げた先にもまだいますわよ。それに、こちらからは攻撃しない、なんてルールもありませんもの!」
まるで弾幕ゲーム。
大量の闇が放たれる。
「形ある魔法は打ち返されるのではないのか」
「打ち返す隙を与えなければ良いのですわ」
大量の闇から身を守るために巨人を盾にしようとしたが、その身体をすり抜けて弾丸は迫って来る。
むしろ、障害物にした事によって視界が塞がれ回避に少しだけ遅れた。
「同じ闇で創られているのに、盾にできるとお思いですの?」
「確かに、そうかもな!」
しかたないので円を描くようにダッシュして回避していく。
反撃の隙間なんてのは与えてくれないらしい。
それだけではなく、ミカエルからも魔法の攻撃が放たれる。
レーザーのように一直線の光が伸びる。
「くっそ」
太ももをその光が貫いた。
急いで身を潜める場所を探しているが、その全てが闇に呑まれている。
「だあああクソが! めんどくせぇな!」
俺は地面に向かってバットを振り下ろした。
迫って来る魔法が身を殴ろうが関係ない。
ただ今の感情を乗せた一撃を地面に叩き込むだけだ。
その衝撃波によって闇が離れ、魔石を一つだけ破壊した。
しかし、闇の巨人が減ることは無い。
「魔石はなくなっても、根本は闇ですわよ?」
「だるいなぁ」
核である魔石を破壊しても倒れる訳じゃない。闇がある限り復活してくる。
魔石を壊しても意味が無いんじゃないかと思えてくるな。
だけどドラゴンは復活してこない。
ありがたいのだが、怖いな。
「全てを破壊するまでよ!」
「ふふ。目的無き戦い。全く持って終わりが見えませんわね!」
津波のように押し寄せてくる闇の刃を高いジャンプで回避する。
「ぐっ」
横腹を軽く切り裂いた光線。ミカエルもしっかり攻撃して来るのだ。
しかも、ミカエルの攻撃は何故かしらんか、受けると再生が遅い気がする。
気がするだけなら良いのだが、実際にまだ腹に受けたダメージが完全に再生しきれてない。
「クッソが!」
俺はミカエルに向かってステッキを乱暴にぶん投げた。
当然、そんな直線的な攻撃は回避されるのだが。
「ぬっ」
「ばかめ」
投げた瞬間にミカエルは俺の後ろにやって来た。
だけど、転移の予測くらいできるんじゃ!
「オラッ!」
裏拳をミカエルに飛ばすが、それを受け止められる。
「なっ!」
「お前程度の力で我の力に勝ると、本当にそう思っていたのか?」
力で負けている可能性はあったけど、実際目の当たりにすると辛いね。
ミカエルが俺の手を掴んでいる反対の手を握った。
「なんと言ったか。チェックメイトだったか」
「ノリが良いね天使様!」
俺の顔面にダイヤよりも硬い拳がねじ込まれ、地面に向かって墜落した。
鼻は折れて血を吹き出し、地面に叩き落とされた俺に無慈悲にも、巨人は群がる。
大量で巨大な拳が降り注ぐ。
一撃一撃が骨まで破壊しそうな火力をしてやがる。
だから俺は逃げた。
「やったか」
「ミカエル様。それはフラグと言うのですわ」
「なんだそれは」
「アイツが生きている可能性を生み出してしまった、と言う事です」
それを聞いたミカエルは確実に仕留めるため、巨大な魔法を作りました。
巨大な魔法ってどうしても形を作り出すよな。
今回の魔法は光で巨大な四角錐を作り出している。
「これで終わりだろ」
さっき落とされた場所に向かって、その魔法は落とされる。
しかし、シロエさんの推測通り俺は生きている。
いや、それだけじゃない。
「最高にハイってやつだ!」
俺はシロエさんの背後の地面から跳び出した。
殴られながらも地面に避難し、モグラのように進む。
力技こそ最強の技だ。
「身体が軽い軽い」
おまけで、アイツら闇の巨人によって壊された骨は再生が普通のスピードで、ミカエルによって壊された場所も見事に再生した。
ダメージを与えた主ってのは上書きできるらしいな。おかげで再生も完璧だ。
ミカエルの攻撃には再生妨害がある。さすがにもう分かった。
分かっただけで対策ができるかと言われたら、答えはノーである。
「ついでにこんなのも手に入れちゃった」
俺は魔石を見せつけて、砕く。
「地面の中までは闇も通せないようだなシロエさん」
「ええ。水ではないので」
煽り返してやったつもりだが、笑顔で跳ね返された。
こう言う面ではシロエさんの方が強そうなので、やめておこう。
ミカエルが俺に魔法を放つ前の予備動作の瞬間に俺は、最後に残していた魔石を一つぶん投げた。
「あら。お返しありがとうございますわ」
「さすがに数は把握してたか」
だが、俺の狙いはそうじゃない。
ステッキはそろそろ戻って来る時間だろう。そうじゃなくても念じる。
俺の投げたスピードそのままに戻って来るステッキは、殺気も何も無いのだ。
一番凶悪かつ最高の攻撃手段。
予想通り、俺のステッキはいきなり動き出してミカエルの背中に向かって進む。本当は俺の方に来ているんだけどね。
「そんなのを見抜けないわたくしだと思いましたか?」
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