物理系魔法少女、ロリ職員に煽られる
メッセージにより、アオイさんが一緒にダンジョンに行けなくなった。
コラボはかなりの盛況を見せて、互いにチャンネル登録者数を増やしていた。
そして今日はとても不安な一日である。
魔法少女全員で戦闘訓練と言い出したのはアオイさんだ。
だが、アオイさんとミドリさんは補習があるらしく、なぜか親交を深めると言う名目の下、ミズノさんとダンジョンに行く事になってしまったのだ。
不安だ。不安しかない。
でも、不安ばかりではしかたない。
レベルを上げて金を安定して稼げるようにならないといけないから。
「あ、星夜さん。今日は早いね」
「昨日は色々な物件見て、疲れてすぐに寝たからな。お陰様で良く寝れたけど腰が痛てぇ」
「そっかそか。それじゃ、行こう!」
腕を組まれ、柔らかな感触を感じながらギルドまで向かった。
ギルドに到着して、紗奈ちゃんは裏口に向かった。
俺はロビーに入る。
「いや〜紗奈っちのあの猛攻を良く耐えたモノだよ」
ロリ職員の女性がいつの間にか、俺の隣の椅子に座っていて話しかけて来た。
あーいや、俺じゃないかもしれない。
つか、なんで知ってるの?
「レベル4以上、安定収入、それまでに気がお互いに変わらなければ結婚、変な条件だけど普通かな? でも結構大変だよね〜」
「本当になんで知っているんですか?」
怖い。
「それまでは、互いに恋人居ないと言うステータスを維持、ね? 告白から逃げられても返事を待っていた一途な女に厳しいね〜」
「仕事は良いんですか?」
ケラケラ笑いながら言ってくれる。だから嫌味を言ってみる。
「大丈夫。ちゃんとしてるから」
ん? まぁ良いや。
紗奈ちゃんが色々と話しているのかな? 怖いし嫌だな。
さっき行ったばかりなのに、紗奈ちゃんが話して俺に話しかけて来ている⋯⋯のか?
色々と不思議って言うか怖い点が見えて来た。もう、無視しよう。
「探索者の寿命は短い。年長者でも50代くらいだし、身体の事もある。急いでやんないと条件満たせなくなるし、貯金も貯まんないかもね〜」
少しだけイライラして来た。
「紗奈ちゃんは沢山お金持ってるし、君よりも何倍も強い⋯⋯ヒモになるのが一番じゃないかな?」
ムカッとして、言い返そうと隣を見ると⋯⋯彼女は既に居なかった。
「なんだよ⋯⋯たくっ」
やるしかねぇな。
実際、紗奈ちゃん好きだし。
重要なのは俺の想い、気持ちだ。
後は気持ちだけじゃどうにもならない事を、全力で努力して埋めるだけだ。
「おまたせ」
お、おう。
いつもよりも真っ直ぐな笑顔で対応された。
「それで、今日はどこに行くの?」
「仕事モード紗奈ちゃんはいずこへ?」
「そこのゴミ箱」
あ、そうですか。
今日行こうとしている場所は、推奨レベル3の中では難易度が一番低い、『マナの草原』である。
「⋯⋯まぁたパーティでぇすかぁ?」
「怖い怖い。そうですはい」
「浮気は許さない⋯⋯」
「断じて違う」
「⋯⋯そうですかそうですか。へ〜。あ、ガラス瓶を持って行ってね。マナの草原にある水源の水は金に変わるから⋯⋯私の為にも、全力でサポートするから、ね」
⋯⋯そのサポート力は多分、今までと変わらない。それだけ日々のサポートは大きい。
ギルドの二階に行ってガラス瓶を購入して、受付で登録して、リュックに詰め込んでゲートを通る。
「ゴブリンと出会った森みたいだ」
ただ気持ち空気が重めだ。
確かゲートを通ってから北に向かって進んで、湖で待ち合わせだったよね?
紗奈ちゃんの言っていた『水源』とやらが湖なのかな? ミズノさんに聞けたら良いな。
お、既にミズノさんが居た。
「お、おまたせ⋯⋯」
「遅い」
待ち合わせ時間、二時間後!
早すぎだろ。
「アオイちゃんが居ない、帰りたいけど、アオイちゃんが言ったから、一緒に探索する」
「よろしくお願いします」
ペコッと挨拶しておく。
「⋯⋯ガラスの音がする。マナ水取り行く?」
「あ、はい」
「結構遠い。南の方、行くよ」
ミズノさんは結構世話焼きなのかもしれない。言葉足らずの⋯⋯そう思っておこう。
アオイちゃん信者な理由をとても聞きたいけど、そんなプライベートに踏み込む事はできない。
俺も踏み込まれたくないし。
「⋯⋯魔物」
「狼か」
「マナウルフ。ミズノの戦い見て、学べ」
腰に帯刀していたショートソードを抜き取る。
両手剣⋯⋯双剣かな?
「って剣!」
「ステッキは携帯だけで効果がある。メイン武器は別に用意するの基本、アオイちゃんは魔力が別格だから魔法寄りなだけ」
そんな貴重な情報は早く教えて欲しかったな。
マナウルフと呼ばれた、オーラを纏った狼がミズノさんに迫る。
「技は心を落ち着か⋯⋯せて繰り出す剣術とか色々ある」
なんかそれっぽい事を言おうとしたけど、難しかったから辞めた、みたいな感じ?
ミズノさんが駆け出し、水色の閃光を残してウルフを斬殺した。
「魔法少女は変身前でもかなりの身体能力強化がある。変身するとさらに上がる。それを自覚して使いこなす必要がある。それが基礎」
「色々と教えてくれますね」
⋯⋯俺は本来の魔法少女とは違うから、変身前も身体能力が高いとか、ねぇよ!
「アオイちゃんに個別に言われた。面倒見てと。だからする」
「そっか。ありがとうございます」
「⋯⋯ミズノはアオイちゃん以外に興味無い。アオイちゃんの指示なら動く。覚えておいて」
何となく分かってる。
⋯⋯にしても、予想通り。
水色の魔法少女衣装で外見の大きな変化は見られない。
もしかして俺の魔法少女だけが姿形を自在に変えられる、のか?
「質問良いですか?」
「うん?」
「ステッキを自在に変えられるのって⋯⋯」
「それがお前の魔法の一種なんでしょ? アオイちゃんが言ってた。ミズノ興味無い」
アオイさんはそう言う仮説を立ててたのね⋯⋯そっか。
これ、もしかしたら俺は魔法を使えていたのかもしれない。
「急にニコニコキモイ」
「ごめんしゃい」
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