第二ボタン
美月つみき
第1話
「ねぇ、悠斗は誰かにボタン渡すの?」
「お前には関係ないだろ」
「えぇ、誰か好きな人に渡すとかさ。そういう子いないの?」
「俺はそういうの興味ないの。雪乃こそいないのかよ、好きな人。」
顔を見られたら嘘をついてるのがバレてしまうと思い、口元が隠れるようにマフラーを巻き直した。
「私はいるよ、好きな人。卒業式の日に告白するんだ。誰かは言わないけどね。」
小学生からずっと一緒にいたのに、好きな人がいたなんて知らなかった。
ショックを受けて少し早足になると、
「悠斗はわかりやすいなぁ。」
そう言いながら歩幅を合わせて家の近くまで、何も話さずに帰った。
「また明日ね。」
「あぁ、また明日。」
俺も言おう、雪乃が誰かに告白する前に。
ー
卒業式が終わり、校門近くは皆で写真を撮ったり、後輩に名札を渡してる奴らで溢れていた。
雪乃を見つけないと。
気持ちが焦っていてなかなか見つけられない。
「悠斗。」
声をかけられて後ろを振り向くと、雪乃が立っていた。
そしていつにもなく可愛い笑顔でこう言った。
「ずっと好きでした、付き合ってください。」
「俺も同じこと言おうと思ってたんだ。」
そう言って、手に持っていた第二ボタンを雪乃に渡した。
第二ボタン 美月つみき @tsumiki_8
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます