第二ボタン

美月つみき

第1話

「ねぇ、悠斗は誰かにボタン渡すの?」

「お前には関係ないだろ」

「えぇ、誰か好きな人に渡すとかさ。そういう子いないの?」

「俺はそういうの興味ないの。雪乃こそいないのかよ、好きな人。」

顔を見られたら嘘をついてるのがバレてしまうと思い、口元が隠れるようにマフラーを巻き直した。

「私はいるよ、好きな人。卒業式の日に告白するんだ。誰かは言わないけどね。」

小学生からずっと一緒にいたのに、好きな人がいたなんて知らなかった。

ショックを受けて少し早足になると、

「悠斗はわかりやすいなぁ。」

そう言いながら歩幅を合わせて家の近くまで、何も話さずに帰った。

「また明日ね。」

「あぁ、また明日。」

俺も言おう、雪乃が誰かに告白する前に。


卒業式が終わり、校門近くは皆で写真を撮ったり、後輩に名札を渡してる奴らで溢れていた。

雪乃を見つけないと。

気持ちが焦っていてなかなか見つけられない。

「悠斗。」

声をかけられて後ろを振り向くと、雪乃が立っていた。

そしていつにもなく可愛い笑顔でこう言った。

「ずっと好きでした、付き合ってください。」

「俺も同じこと言おうと思ってたんだ。」

そう言って、手に持っていた第二ボタンを雪乃に渡した。

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第二ボタン 美月つみき @tsumiki_8

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