第16話 半魚人パニック!③
ペイル・ライダーの能力により魂を失いただの骸と化した鮫半魚人が、ドスリと音を立て闇が作り出した地面に倒れ、その中へと沈んでいった。
「あ"ーっ…やっと終わった…疲れた…」
仲間と合流すると言う使命を忘れた訳では無かったものの、取り敢えず疲労を回復するべく眠りについた……。
―――――――――――――――――――――「ラーズの声は…確かこの辺から…」
随分と前に聞いた声を頼りに、カークはラーズのいるおおよその座標を割り出していた。
そして、そこへ向け駆けていた。
「おい!ラーズ!聞こえるかー!」
自身が呼ぶべき者の名を叫んでいたその時。
「カークか?その声は…カークなのか!」
自身の名を呼ぶ声が一つ。
そうして2人は闇の海にて遂に再開をした。
「イェッヘーイ元気だったかぁ〜ラーズさんよ!」
「半魚人がウザくて肩こりする以外は元気だが…それよりも大事な事がある。お前ももう戦いの中で知ったとは思うが…」
「この空間には…恐らくあのルービックキューブみてーな遺物のせいで…俺達の『魂』が剥き出しで置かれている…」
「そうだ、この空間において最大の問題点がそれだ。悪魔能力に目覚めた人間は、普通の人間と比べて魂の強度が高い。だが魂の死は肉体の死のそれよりも重い。肉体の死はある程度は無視出来るが、魂では別だ。ここまではお前も学校で習っただろ?」
「習ったも何も元々同級生だろ俺ら。孤児だし」
「あーっそういえばそうでしたねクソッタレ!」
「何はともあれ、ここから少しでも早く出なきゃならない、って事だろ?」
「そういう事ではあるが…だがもっと大事な事がある」
「ジェイムズとの合流、か」
「そうだ」
―――――――――――――――――――――
「あぁあっ…っふー…よく寝た…」
「「よく寝たじゃねーよアホォ!!」」
「どわぁお前ら!?どうしてここに!?」
「探してたらいた」
「なーんでそれで見つかるんだよラーズさんよぉ…まぁいいや、お前らが言い出すのってどうせここから脱出する算段だろ?」
「あっ…ああそうだぜ…」
「やっぱな、なら俺に考えがある。まず問題だ、この空間の構造はどうなっている?」
「そりゃあ、あの遺物の中に格納されてるんだろうな。急にどうしたんだ?そんな当たり前の事聞いて」
「そうだ。格納されている。という事はだ、この空間には果てがある。だが『横』はどれだけ続いてるか分かったもんじゃない。『上』も同様だ。しかし、『下』はどうだ?俺達の足は地についている!という事はだ!ここがこの空間の『端』!ここを壊せば、俺達は外に出られるかも知れない!」
「うぉーッすっげぇーッ!そうと決まれば実行だ!
「おっほヒビ入ったぞ!この調子だ!」
「だーッハッハハハーッ!!!!!」
―――――――――――――――――――――
場所は変わり、モスクワにあるとあるホテルの食堂。そこに横たわる3人の男を見下ろす様にルービックキューブの様な遺物を首からぶら下げた男児が立っている。
しかし突如、男児の持つ遺物の底から黒ずんだ液体が勢いよく大量に漏れ出した。
そして。
その遺物に閉じ込められていた男達の魂は体へと戻り、やがて彼らは意識を取り戻し、立ち上がった。
そしてその男達の一人…ジェイムズが口にする。
「お前自体はボコらないでおいてやるが…その遺物はオシャカにさせてもらう。ペイル・ライダーッ!」
ジェイムズの体から飛び出した茎はやがて青白い死人の様な人型と化し、男児の持つ遺物に向けて拳を振るった。
「ドララララララララララァァァ!!!!!!」
そして、ルービックキューブを模した遺物は粉々に砕け散った……。
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