第8話 炎上暴走特急②
「ホワイト・ライダー…力は支配か?私は束縛は嫌いだが」
さも余裕ありげにマスターが呟く。
「ただまぁ…こちらの使命はあなた方に立ち向かう事なのでな、少々土台を整えさせて貰ったよ。そしてこれから仕上げを行うのさ」
言い終えたマスターはパチン、と音を響かせながらハンドスナップをした。その瞬間にバーである車両の向こう側、すなわち運転室側から、ボムと小さく爆発音がした。
マスターはロバート以外の三人に向け告げた。
「そこのお三方!ここに入る事を許そう、そして運転室を見て来い、そこで見たものを知らせた後、再びこの車両に戻って来い。いいな?」
ジェイムズは嫌な予感を覚えた。何かとんでもない事をこの男はしでかしたのでは無いかと、そんな気だ。しかし同時に、この男の言葉には従わなければならないとも感じた。現に今の自分たちは生きた爆弾であるため、そう感じるのは必然であった。
「じゃあ…行ってくるぜ、マスター、ロバート」
そう言い残し、三人は運転室へと向かった。
結論から言うならば、その予感は現実のものであった。運転室へと足を踏み入れた時にベトリ、とした感触がジェイムズの足を伝い、脳へと届けられた。そしてその眼下には運転手の中身と血液が、ワインをぶち撒けた様に飛び散っていた。そしてジェイムズ達は、自らに仕掛けられた爆弾の正体を、そして威力を、確かめることとなった。
「オイィ〜~これは…これは…非常ォオにマズイィ〜〜!!」
「どうしたカーク!」ジェイムズか尋ねる。
「だってよ…死んでるんだぜ、運転手」
その場に衝撃が走った――――正確に言えば、その場の全員がそれを分かっていた。分かってはいたが、目を逸らしていたことだった。しかし、今のカークの発言により、全員が改めてその事を自覚し、現実の出来事だと受け入れたのであった。
この列車は暴走している、と言う事を。
―――――――――――――――――――――「君のお仲間さん達は気づいたみたいだねぇ、でも奴らは下手な行動は出来ない。この私の『アルコールを爆発させる』魔法がいつ発動するか!それが奴らには分からない!腹の中にたんまりと爆弾を抱え込んだ状態でなァ!……そうだそうだ安心しろ、私は未成年には飲酒をさせない主義なんだッ、だから!」
そう言いマスターは自分の背後にあったまだ燃えていないワインの瓶を手に取った。
「この私が!自分の手札を一気に使うような馬鹿だと思うなよッ!食らえッ火炎放射器ィィーーーーー!!!!!」
ワインの瓶の底が割れ、中からは勢いよく小さな炎が無数に飛び出し、ロバートの本体の元へと向かった。ロバートはすかさず防ぐも、ホワイト・ライダーの腕には痛々しい火傷が出来ただけであった。
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