第5話 透明の刃②
透明の雨が降った後、そこには血の雨が降っていた。イサカは勝利を確信し、その血の雨に近づいた。しかし、そこでイサカは気づいた。いないのだ。カークが。
「おせーよ…ブラッド・レイン…」
その声をイサカが聞いた瞬間、血が瞬時に剣の様な形となり、イサカの体をいざ突き刺さんと迫った。しかし、それはすぐにイサカの魔法により砕けた。
「おいいいいカァァァァクゥゥゥゥ!!!!!テメェ何やったかは知らねーが今のはどうやったんだァ〜〜??ンン〜〜??」
「何って…ただ自分の血にエーテルを込めただけだが?」
イサカが声のした方を見ると、そこには出血したレッド・ライダーがいた。彼はじっとイサカの方を睨みながら言った。
「おかげでタネは全て分かった…俺も手の内を見せた…ならば後は、お互いの力をぶつけあうだけだ…」
「いいぜ、俺の目的は全て達成された!お前は俺との戦いに夢中になって、ついついお仲間さんとはぐれちまったみてぇだな!ここで俺は刺し違えてでもお前を殺す。なに、後はメカニックスの奴らがやってくれるさ…」
「そのメカニックスとやらは、何だ一体?」
「知らなくていいねッ!そんなこと!第一俺も詳しくは知らないのさ!新しい教皇サマは口が堅いんでね!」
「教皇?今、確かに教皇と言ったな?もう新しいのが決まったのか?それじゃあジェイムズがやったことはッ…!」
「首をすげ替えた、だけさ…新しい教皇は殺された方の弟さんだとよ」
「じゃあ無意味!無意味じゃないか!無意味な罪を背負い、俺たちは逃げようとしたのか?馬鹿じゃないのか?俺たち?」
「革命がしたいのなら立ち向かえ…本当に何がしたかったんだお前ら…内輪ノリか?」
カークは考えた。確かに、教皇を殺した後に教会を乗っ取った方が正解だったかもしれないと。
ひょっとしたら今まで自分は、ただ周りに流されるまま生きてきたのでは無いかと――――――。
「まぁいい、雑談はおしまいだ。そろそろ本気でやらせて貰うぞ」
「来いよイサカァ!」そう叫ぶとカークは近くにあったポストに触れた。それは瞬時にハンマーの様な形へと変形した。
「ポストハンマー!!」イサカの顔面に向け、ハンマーが振り下ろされた。しかしその瞬間、ハンマーを握っていた手の感覚が無くなった。そして足元に落ちた物によって、何が起きたかをカークは悟った。それはハンマーを握った自身の腕であった。
「『触れた物』を武器に変える、教皇サマから教えて貰ったアンタの能力だ。俺とアンタは能力の相性がいいからな、だから俺が派遣されたんだろう。んでだ、触れた物が武器になっちまう、それはそれは危険な能力だ。この世の全てが武器庫なんだからなぁ。しかし俺は思った。そもそも触れる事が出来なきゃあ能力は封じられる!意味が無いってなァ!」
―――――――――――――――――――――
教会の中は、しんと静まり返っていた。空気は張り詰めており、とても肩の力など抜ける環境では無かった。そんな教会の中の一室に、教皇であるフリークと、その直々の幹部であるメカニックスがいた。彼らは何やら話し合っていた。その内容が何なのか、ジェイムズ達はまだ知る由もなかった。
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