第6話 「昔より 主をばうつみの 野間なれば  報いをまてや 羽柴筑前」

出典:


信長死後の権力闘争に敗れ、異母兄・信雄に切腹に追い込まれた織田信孝の辞世の句より。



私は昔から辞世の句に興味があり、個人的に収集したりまとめた本を読んだりして、優に数百句は見ているのですが、もし「一番心に残った句は」と問われれば、おそらくこれを挙げると思います。

辞世というと、色々無念はあれども最期は心穏やかに… という雰囲気のものも多い中、「うつみの野間」で婿殺しと主殺しで名高い長田忠致を掛けつつ、締めは直截に強烈な呪詛と個人名を挙げて詠んでいるこの句は、何か瘴気すら吹き出ている様な感じで、初めて見た時より強く印象に残っています。


そして、この三十年余り後、豊臣家が本当に報いを受けた様に消え果ててしまった事を考え合わせると、世が世ならば、彼も大怨霊として奉られたのかな… などと妄想をしたくなったりも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る