10 二人の来訪者《光竜王SIDE》
「なるほど。君が光竜王か」
「うわー、大きいですね。驚きのサイズです」
二人組の女が光竜王を見上げていた。
「なんだ、お前たちは?」
一見してただの人間に思えるが――。
その全身から放たれる威圧感が尋常ではなかった。
世界最強の竜種である自分が、気圧されるほどに――。
「ふっ。そう身構えるな。私たちは敵ではない」
「ですです。助太刀に参上したのです」
二人が言った。
「味方……ということか?」
「私はディータ、彼女はシリル。ここからはるか遠方に住む……とある戦士の一族だ」
「よろしくです」
彼女たちが一礼する。
「君は『
ディータが淡々とした口調で言った。
「貴様!」
「光竜王様に対して無礼であろう!」
側近の七竜騎――といっても、すでに三体しか残っていない――が色めきだった。
「ふっ」
冷笑するディータ。
「はい、怒らないで怒らないで~。短気は損気です」
シリルがそれをなだめる。
「人間が舐めた口を!」
七竜騎の一人が剣を抜いて襲いかかる。
「【砕けろ】」
ディータの一声とともに、剣が砕け散った。
「な、なんだと……!?」
「ホルダーと戦うなら、私たちの力が必要なんじゃないか、と言っている」
「そうそう。必要ですです」
ディータとシリルが微笑む。
彼女たちの額に淡い光が宿った。
その光は紋章を形作っている。
王冠を意匠化したような形の紋章だ。
「……なるほど。お前たちを戦力に引き入れる方が賢いようだな」
光竜王が言った。
「相手がその『天の遺産』の力を持っているのに対し、こちらは二人分の『天の遺産』で立ち向かうのか」
「いいや」
光竜王の問いにディータは首を振った。
「三人分だ」
右手を差し出す。
手のひらを上に向けると、そこにもう一つの紋章が浮かび上がった。
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