8 剣が示すもの
「それにしても……さっきの攻撃はすごかったですね」
「この剣の特殊能力だ。私の体に風をまとわせ、その力で動きを加速、増強させる」
ヴィクターさんが解説した。
「体に強烈な負荷がかかるから三分程度しか耐えられないが……その間、私は人間をはるかに超えたパワーとスピードを備えた超人になれるんだ」
確かにさっきの動きはまさに超人だった。
時間限定とはいえ、その間はリリィやマルチナ以上の戦闘能力だと思う。
「まあ、あなたの攻撃の方がすごかったが、レイン」
ヴィクターさんが苦笑する。
「で、奴らがこの間言っていた光竜王の側近か」
「ええ、いきなり襲ってきたんです」
問いに答える俺。
「その前にも側近を二体倒しているんだろう? 今回さらに二体倒したということは残り三体。後は光竜王だけ……もうレインが一人で倒した方が早くないだろうか?」
ヴィクターさんが身も蓋もない意見を言った。
と、そのときだった。
ヴ……ン!
「あれ、なんだ……?」
俺の『燐光竜帝剣』が光っていた。
またヴィクターさんの剣に共鳴しているのか?
「いや、ちょっと様子が違う――」
剣全体が振動している。
俺はゆっくりと剣を抜いた。
ヴィクターさんも同じように剣を抜く。
「う、うわっ……」
剣が俺の手から離れ、ひとりでに浮かび上がった。
ヴィクターさんの剣も同じく浮かび上がる。
「共鳴が強くなっている……?」
『「
そんな音声が流れた。
次の瞬間、二本の剣は空中で合わさり、柄頭のところで連結された。
双剣状態のそれが回転し始める。
キィィィィィィィィンッ……!
甲高い音とともに、刀身から光がまっすぐに伸びた。
光は上空に何かの図形を描き出す。
あれは――。
「紋章……?」
そうだ、前に武器店で見たものと同じ――。
『天の遺産』を示す紋章だ。
その形はより鮮明になっていた。
あのときはぼんやりとしか見えなかったけど、今回ははっきり形が分かる。
王冠を思わせる形をした紋章だった。
さらにその紋章が変化し、別の形へと変わった。
「今度はなんだ……?」
複雑な図形は、よく見れば地図のようだった。
見覚えのない地形だから、この付近じゃなさそうだ。
剣が示す場所。
そこには何があるのか――?
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