3 メガ盛りパフェ


 俺はニーナ、メアリとともに一軒のカフェに入った。


「ここはスイーツが絶品なんですよね」


 ニーナが嬉しそうに言った。

 メアリがニヤリとして、


「そうそう、ニーナって一時期は毎日ここに通ってたよね」

「ま、毎日じゃないよ。一週間で六日くらいだもん」

「それ、ほぼ毎日じゃ……」


 思わずツッコむ俺。


「えへへ、本当に美味しいんですよ。レインさんにもぜひ食べてほしいです」

「あ、見て、ニーナ。今日は『究極最強絶品スイーツ・メガ盛りパフェ』の日だよ」

「えっ、『メガ盛り』? あれって一か月に一回か二回しか売ってないよね?」

「そ。今日がその日みたい。売ってる日は完全ランダムだし、今日はついてるね!」

「やったー!」


 歓声を上げる二人。


 そして、俺も含めて三人とも『メガ盛りパフェ』とやらを注文することになり――、


「「きたー!」」


 運ばれてきたそれに、ニーナとメアリが一段と大きな歓声を上げる。


 すごいはしゃぎっぷりだ。

 よっぽど嬉しいんだろう。


「……って、これか」


 塔のように高く積まれたイチゴやオレンジ、キウイなどの各種フルーツ。


 冒涜ぼうとく的なまでにたっぷりと盛り付けられた生クリームとスポンジ。

 すさまじい迫力を伴った巨大なパフェである。


「ほら、ニーナ。あーん、してあげたら?」


 メアリがニーナに目配せした。


「えっ」

「えっ」

「あーん、だよ。レインさんに」


 メアリが重ねて言う。


「いや、そんな唐突に言われても」

「ファイト、ニーナっ」

「う、うん……がんばる」


 なぜか二人は目線で合図していた。


「ニーナ……?」

「いきます、レインさん……っ」


 ニーナが真剣な目で俺を見つめ、スプーンを構える。

 まるで歴戦の冒険者のような気迫だった。


「お、おう」


 思わず気圧される俺。


「あ、あ、あー………………ん」


 ニーナは恐る恐るといった感じで、生クリームの部分をスプーンですくった。

 緊張しているのか、手が震えている。


「がんば、ニーナっ」


 メアリが側で応援している。


 ……これはさすがに遠慮しづらい雰囲気。

 素直に『あーん』で食べさせてもらった方がよさそうだ。


 ちょっと気恥しいけどな……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る