11 武器店にて
俺はラスとともにギルドの近くにある武器店にやって来た。
「うーん、これがいいかなぁ」
ラスは選ぶのが早い。
材質とか、刀身の長さや幅とか、重さのバランスとか、そういうのは全然考えてないらしい。
「即断即決だな……」
「こういうのは直感ですよ、直感」
ラスが笑っていた。
「まあ、考えるのがめんどくさいっていうか。あはは」
「それはただ適当なだけでは……」
でも、まあ、天才っていうのはこういうタイプなのかもしれないな。
「ラスが納得しているならいいか……会計を済ませたら、貸してくれ。俺が強化ポイントを込めるよ」
「ありがとうございます!」
ラスは顔を輝かせ、剣を会計用のカウンターに持って行った。
ラスが剣を購入すると、さっそく強化ポイントを付与した。
「うん、これでいいんじゃないか?」
他者への上限である『+300』を込め、剣を返す。
「おお、やっぱり新品はいいなぁ」
どうやらラスも気に入ったみたいだ。
刀身を陽光に透かして見たり、握り心地を確かめたり――。
「ありがとうございます、レインさん」
「役に立てたなら何よりだよ」
「役に立つどころか――おかげで、どんなモンスターでもスパスパ斬れそうですよ。このままA級まで最短距離でいくぞっ」
熱血モードのラスだった。
と、
「あれは――」
店の隅に立てかけてある小さなナイフが目に入った。
ホコリをかぶった古ぼけたナイフだ。
シンプルなデザインで、柄の中央に小さな宝玉がはめ込まれていた。
きらりっ。
宝玉が瞬く。
まるで、人間の瞳のように。
「っ……!」
体の芯に電流が走るような感覚が生じた。
「なんだ……!?」
俺の中の『何か』が、こいつに反応している――そんな感覚。
そっとナイフの宝玉部分に触れてみた。
バチッ!
小さな火花が散る。
「えっ……!?」
ナイフの中央に輝く紋章が浮かび上がった。
『この力の波動……「
紋章から声が聞こえる。
「レリ……クス?」
一体、なんだそれは?
俺は紋章に目を凝らす。
輝く紋章の中に、さらに別の何かが浮かび上がっている。
「これは――!?」
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