7 探知機2


「探知機か……」

「どうしたの、レインさん?」

「隣の会話がちょっと聞こえてさ。モンスターの探知機があるみたいなんだ」


 俺はメアリに言った。


「そいつを強化すれば、高精度の探知機になるかもしれない。そうすれば、モンスターを探すのが格段に楽になる」


 実際、俺の場合はモンスター討伐クエストで一番時間を食うのは、『モンスターを探すこと』だった。

 モンスターを倒すこと自体は、ほぼ一撃だからな。


 もし探知時間を短縮できるなら、討伐の効率は劇的に上がるかもしれない。


 それはつまり、今までよりもずっとハイペースで強化ポイントを溜められる、ってことだ。




 よし、予定変更だ。

 クエストに行く前に、ちょっと町中の道具店を見てくるか。


 俺はメアリから討伐クエストを一つ受注した後、まず道具店へ向かった。


「探知機……ですか?」


 俺の質問に店主は小さく眉を寄せた。


「ええ、王都でそういうものを買った、という冒険者がいて」

「最新式のものはないですけど、ちょっと前に開発された旧式なら」

「あるんですか」

「まあ、あんまり性能はよくないですけどねぇ。だから、市場にも大して出回らなかったし……」

「見せてもらえませんか」


 俺は身を乗り出した。


 多少性能が劣っていても問題はない。

 俺が大量に強化ポイントを付与すればいいだけだ。




「毎度あり~」


 にこやかな店主に手を振り、俺は道具店を後にした。


「よし、探知機を買えたぞ」


 俺はホクホク気分だ。


 モンスター発見用魔導探知装置3型。

 それがこの探知機の正式名称だった。


 ちなみに最新式は5型らしい。

 これはいわゆる型落ち品。


 でも、十分だ。


「さっそく強化ポイントを付与するぞ――」


 とりあえずお試しで『+1000』ほど、この探知機に付与してみた。


 スイッチを入れる。

 こいつの外見は手のひらサイズの箱型機械で中央部に丸い画面がある。


 モンスターがいれば、そこに光点として表示される仕様だった。




『モンスターの反応アリ』

『種族名:ブラックオーク』

『個体数:7』

『ここから東に3キロ』

『詳細情報を表示しますか?』

『表示を希望する場合は音声指示をお願いします』




 画面にそんな文字がズラッと現れた。


 なんだこれ……?

 装置の機能説明には、こんなのなかったんだが――。


 もしかして、大量の強化ポイントを付与したことで、機能自体が進化しているのか……?

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