11 巨竜との決戦


「よかった、全員無事みたいだな」


 多少怪我はしているけど、致命的なダメージはなさそうだ。

 そのことにまず安堵する。


「貴様がここにいるということは――ライエルはしくじったわけか」

「ああ。次はお前だ」


燐光竜帝剣レファイド』の切っ先を巨竜に突きつける。


「俺は、あんな奴と同じようにはいかんぞ」


 レドグフが巨体を震わせた。

 長大な尾が繰り出される。


 だけど――強化された俺の視力や反応速度の前には止まっているに等しい。


「無駄だ」


 振るった剣で尾を両断する。


 後は間合いを詰めて、一撃を食らわせるだけだ。

 衝撃波を放てる仕様に戻せば遠距離からでも攻撃できるのだが、それをやると遺跡自体を崩しかねない。


 ここでは遠距離攻撃は封印し、接近戦で直接叩き斬るしかない。

 俺は地を蹴り、一気に距離を詰める――。


 と、眼前に数体の敵が出現した。


「なんだ……!?」


 いずれも骨でできた竜人のような姿。


 剣と盾、鎧で武装している。


「【竜牙兵りゅうがへい作成】――俺の特殊スキルだ」


 レドグフが笑った。


「牙に魔力を込めて抜くと、この通り――不死の兵士となるのさ」


 俺は構わず進み、数体の竜牙兵を次々に斬り払った。


「そいつらと遊んでおけ。俺との距離は詰めさせんぞ」


 その間に、さらに十数体の竜牙兵が出現する。

 たぶん、レドグフの牙は抜いても、またすぐに生えてくるんだろう。


 これではキリがない――。




『術者の戦闘経験が一定値に達しました』

『術者の付与魔術がレベル3にアップしました』

『付与魔術に新たな領域が追加されます』

『付与魔術、第三術式の起動が可能です。起動しますか?』




 突然、声が聞こえた。


「第三の術式――?」


 もともと俺が使えた付与魔術の術式はこうだ。

 モンスターなどを倒したときに、魔力の一部を吸収し、それを『強化ポイント』に変換すること。

 そして、その『強化ポイント』を武器や防具、アイテムなどに付与すること。

 これらを総称して『付与魔術・第一の術式』ということになる。


 さらに付与魔術のレベルが2に上がったときに、第二の術式が使えるようになった。

 過去に俺が目にしたことのあるスキルをコピーし、強化し、一定時間だけ使用できる――というものだ。


 じゃあ、第三の術式って――。

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