10 合流


「合計で9000ポイント消費か……けっこう強化ポイントを使っちゃったな」


 俺も無尽蔵に強化ポイントを溜めこんでいるわけじゃない。

 日ごろのギルド冒険者への分配や、今みたいなスキル強化で消費していき、実はけっこう目減りしていた。


 もちろん、またモンスターなどを倒せば、ふたたび強化ポイントは入手できるのだが……。


 俺はとにかく走った。


「急げ……急げ……!」


 ライエルによって、かなり遠くまで連れ去られてしまった。

 リリィたちが心配だ。


 俺はさらにスキルをラーニングし、高速移動スキル【アクセル】を使って駆けた。

 強化ポイントはある程度温存した方がいいのかもしれないが、今は一刻を争う。


 やがて、さっきの場所までたどり着いた。

 どうやらリリィたちがかなり押されているようだ。


 戦っているのは、巨大な竜。


「姿が違う――?」


 確か、レドグフとかいう奴は竜人の姿をしていた。

 ということは、ライエル同様に竜体ドラゴニックフォームになったんだろう。


「こんなとき――レイン様がいれば」


 リリィがつぶやく。

 俺は彼女の元へ駆け抜けた。


「呼んだか、リリィ」


 そう声をかける。


「レイン様――?」


 リリィはパッと顔を輝かせた。


「来てくださったのですね!」


 言うなり、俺に抱き着いてくる。


「う、うわっ、リリィ!?」

「よかった……あたし、もう駄目かと……」


 内心で、かなり心細かったんだろうか。

 俺は彼女を抱きしめたまま、頭をそっと撫でた。


「……ずるい」

「ん?」

「リリィだけ抱っこはずるい」

「ミラベル!?」

「あ、えっと、これはそのっ……」


 リリィが顔を真っ赤にして俺から離れた。


「ミラベルも抱っこ」

「へっ」

「それでおあいこ」

「どういう理屈なんだ……」

「ひしっ」


 言って、ミラベルは自分から抱き着いてきた。


「ああ、ミラベルも不安だったのか」

「不安は別に。ただの対抗意識」

「えっ」

「深く考えない」

「お、おう……」


 ミラベルの真意が今一つ分からない。

 とりあえず、さっきリリィにやったように、軽く頭を撫でてやった。


「ん」


 ミラベルは妙に満足げにうなずき、俺から離れた。


「むむむ」


 リリィがなぜかジト目で俺をにらんでいた。

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