第8章 光翼の遺跡

1 燐光竜帝剣・新型強化付与


 俺たちは『光翼の遺跡』を進んでいた。


「この先に遺跡の守護モンスターが大量にいるはずです」


 と、リリィ。


「まともに戦って突破できる数ではないので、別方向に引きつけた後で突破しましょう。あたしが以前に来たときはそうやって進みました」

「いや、まともに行っても倒せそうだぞ?」

「えっ」

「リリィ、マルチナ、マーガレット……誰か、複数の敵を同時に攻撃できる剣術スキルって持ってるか?」

「それなら、あたしが持ってるよ」


 マルチナが手を上げた。


「上級剣術スキル【乱れ斬り・百刃乱舞ひゃくじんらんぶ】だね」

「あたしも対集団剣術スキルは持ってますけど、マルチナさんよりランクが落ちますね。あたしのは【乱れ斬り・乱舞】なので」


 と、リリィ。


「じゃあ、マルチナのスキルをコピーさせてくれ。それを俺が『燐光竜帝剣レファイド』で使う」


 俺はマルチナに言った。


「了解。あ、でも……こんな場所で剣を振り回して大丈夫なの、レインくん? 威力が強すぎて遺跡が崩れるんじゃ……」

「大丈夫。アルベルトさんに鑑定してもらった後、剣の強化付与の設定をいじったんだ。まあ、見ててくれ」




 俺たちは先に進んだ。

 すでにマルチナからスキルを見せてもらってある。

 準備万端だ。


「あれです、レイン様」


 リリィが前方を指さした。


 そこにはオークの群れがいた。


 だけど、ただのオークじゃない。

 全身が黒く輝く鎧に覆われている。

 そして全身から赤いオーラをほとばしらせていた。


「オークの強化型モンスター『フレイムアーマードオーク』です。伝説の剣でも簡単には傷つけられない強固な鎧をまとい、さらに全身にまとった魔力の炎は攻撃にも防御にも使えるという強敵です――」


 リリィが解説する。


「確かに強そうだな」


 俺は剣を抜いた。


「でも、問題はないと思う」


燐光竜帝剣レファイド』に付属する『効果』は五つある。


【衝撃波】

【斬撃上昇】

【物質切断上昇】

【魔力切断上昇】

【自己修復】


 以前の俺は、効果の内訳を知らなかったため、これらの効果すべてを均等に強化した状態になっていたようだ。

 で、アルベルトさんに効果の内訳を聞いてから、強化ポイントの振り分けを細かくいじってみた。


 まず【衝撃波】の強化を解除。

 次に【斬撃上昇】、【物質切断上昇】、【魔力切断上昇】、【自己修復】の四つにそれぞれ+5000を付与。

 合計で+20000の強化とした。


 これで剣を振っても強化された【衝撃波】は出ない。


「じゃあ、行ってくる」


 俺は無造作に歩みを進めた。

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