11 目覚める竜王《光竜王SIDE》


 それ・・はゆっくりと目を覚ました。


 随分と長い眠りについていた気がする。

 まるで永遠と思える時間、夢を見ていた気がした。


(そうだ、我は――)


 記憶が少しずつ鮮明になる。

 かつて勇者エルヴァインに不覚を取り、その後に封印されたのだ。


(あれから何年……いや何十年……いや何百年経ったのか……)


 だが、その封印が緩んでいる気がした。


「動く……!」


 それが歓喜の雄たけびを上げる。

 まだ、わずかだが――体が動く。


「我の――この光竜王の体が、動くぞ……!」


 巨体を震わせる。


「お目覚めを、心よりお待ちしておりました。王よ」


 そばで声が聞こえた。

 全部で七つ。


「おお、お前たちか」


 光竜王の七体の腹心。

 上級ドラゴンですら一撃で滅ぼすほどの、最強の竜族たち。


「我ら七竜騎、王が自由を取り戻すために全身全霊を懸けましょう」

「調べたところ、忌々しい封印は三つの装置から成り立っています」

「そのうちの一つはすでに機能を停止」

「残り二つの場所も目星がついております」

「それらを破壊し、必ずや王に完全なる自由を取り戻してごらんにいれます」

「王よ、今しばらくお待ちください」

「必ずや、我らが――」


 七体がうやうやしく告げる。

 頼もしい腹心たちだった。


「ならば、我は心安んじて待つことにしよう。今はまだ記憶すら淀んでおる。少しずつ――確実に力を取り戻し」


 にいっ、と竜の口が笑みの形を作る。


「すべてが戻った暁には、今度こそ世界を滅ぼす」




 そして――太古の最強竜王と、神や魔王すら凌駕する究極の付与魔術師との戦いが幕を開ける。

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