5 俺の無双ターン
ガージェスの体が膨れ上がっていく。
「ちいっ」
俺はとっさに予備の武器であるナイフを抜いた。
一閃。
衝撃波とともにガージェスを吹っ飛ばす。
こいつには強化ポイントを+3000ほど注いであった。
竜族相手でも、この威力である。
普通の武器は大量に強化ポイントを付与すると、すぐに壊れてしまう。
だから、どれくらいの量なら耐えられるのか、武器を使い潰しつつ何本も試したのだ。
+3000だと二、三十回程度の使用には耐えられることが分かった。
+10000だと一回か二回で壊れてしまうので、これでもだいぶマシだ。
それにあくまでも予備の武器だし。
ということで、+3000を付与したナイフやダーツなどを俺はいくつか携帯していた。
今使用したのが、その一本である。
「うおおおおおおおおおおおおっ!?」
ガージェスは壁を突き破って、外まで吹っ飛ばされた。
「ふう、危なかった……」
ここで竜に変身されたら、城ごと潰されるかもしれないからな。
外を見ると、身長十メートルくらいの竜が出現していた。
変身を終えたらしい。
「ありがとう、レインくん。後はあたしが!」
壁の穴からマルチナが飛び出していく。
「『フライト』!」
飛行魔法で竜の頭上を飛行するマルチナ。
どうやら剣だけじゃなく魔法も使えるらしい。
さすがは勇者の子孫、万能だ。
「小うるさいハエが!」
ガージェスが次々とブレスを吐き出した。
マルチナは飛びながら避け、あるいは剣から発したオーラでそれを弾く。
だが──、
「きゃあっ……!?」
五発目のブレスを防ぎきれずに吹き飛ばされてしまった。
どうやら竜になったことで、攻撃力がかなり上がっているようだ。
「他愛もない。とどめだ!」
力なく落下していくマルチナに六発目を放とうとするガージェス。
「やらせない──」
俺は剣を抜いた。
「付与魔術第二術式を起動」
『リリィ・フラムベルの剣術スキル『
『強化ポイント「+3000」を消費し、スキルを強化したうえで、術者レイン・ガーランドに付与する』
アナウンスが響いた。
他者のスキルを一時的に俺に付与し、さらに強化する──俺の手持ちで最強の攻撃技。
「『
「へっ……?」
間の抜けた声とともに、ガージェスは虹色の斬撃衝撃波に飲みこまれ、消滅した。
「し、瞬殺……!?」
「なんて、すさまじい……!」
背後で大臣たちがざわめいていた。
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