4 蒼天牙
「マルチェロ内務大臣! あなたは一体、何を言っているのですか――」
女王が叫ぶ。
「少し前に光竜王陛下の封印が緩み、俺たち配下の竜族は以前よりも自由に動けるようになった。で、陛下を害する者がいないか、調査を始めたわけだ。何人かで手分けして、各国に潜り込んで……な」
マルチェロ内務大臣――いや、大臣に化けた竜族が笑う。
「光竜王の再封印などという恐れ多いことを目論んでいたとはな。そんな真似を許すわけにはいかん。さあ、全員殺してやるぞ!」
たちまち他の大臣たちが逃げ出した。
近衛騎士たちが前に出て、竜族に向かっていく。
「ぐあっ」
「ぎゃあっ」
が、竜族が繰り出した爪の一撃が、近衛騎士たちを次々に切り裂いた。
さすがに、強い。
「これ以上は――させない!」
マルチナが剣を手に突進した。
俺は剣を抜きかけたが、すぐに収めた。
王宮内部では、俺の剣は威力がありすぎる。
下手をすると王宮ごと吹っ飛ばしてしまうかもしれない。
まずはマルチナに任せた方が無難か。
「伝説級の剣か。だが、いかに強力な剣といえども、人間が扱っている以上、限界は見えている!」
竜族が口を開く。
「このガージェスの炎で吹っ飛べぇ!」
そこから吐き出される紅蓮の炎。
人間形態でもドラゴンブレスを使えるらしい。
「食らい尽くせ、『
マルチナが剣を掲げた。
青い刀身が輝きを放つ。
その輝きが、まるで竜の口のような形になり、ガージェスの炎にかぶさり、消滅させる。
いや――、
「俺のブレスを『食った』だと!?」
「これが『
マルチナが剣を構え直した。
「ブレスがなければ、君なんてただの大きいトカゲだねっ!」
「ぬかせ!」
ガージェスが吠えた。
その全身から赤いオーラが立ち上る。
「なら、望み通り――その『ただの大きいトカゲ』になってやろうじゃねぇか。竜体――解放!」
次の瞬間、ガージェスの体が大きく膨れ上がっていく。
こいつ、本来の姿に――竜体に戻るつもりか!
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