3 ウラリス王国到着


「女王陛下、マルチナ・ジーラただいま戻りました」


 王城の謁見の間で、俺たちはウラリスの女王と面会していた。

 女王は三十歳手前の、気品のある美女だ。


「よく戻りましたね。それに三本の伝説の剣をこれほど早くそろえるとは……さすがは勇者の血筋です」

「もったいなきお言葉」


 うやうやしく一礼するマルチナ。


 ちなみに彼女は騎士服を着ているけど、王国の騎士じゃない。

 この国で有数の貴族、ジーラ伯爵家の一人娘だという話だった。


「あなた方が残る二本の剣を持つ騎士ですね?」


 女王が俺たちに会釈する。


「レイン・ガーランドと申します、陛下。騎士ではなく冒険者をしております」

「リリィ・フラムベルです。同じく冒険者です」


 俺たちはそろって一礼した。


「なるほど。頼もしい限りです。後は光竜王封印に向けての活躍を期待しますよ」

「封印って、具体的には何をやる?」


 たずねたのはミラベルだ。


「ミラベル、女王には敬語を使うんだぞ」

「そう? 普段敬語って使わないから上手くいかない……」


 暗殺稼業ではそういう機会がなかったんだろうか?


「作戦に関しては、後ほどマルチナやこの国の騎士団から説明をさせますが……基本的には古の遺跡を巡る戦いになるでしょう」

「古の遺跡……?」

「光竜王はもともと三つの遺跡に仕掛けられた封印装置をすべて稼働させ、封印していたのです。ですが、その一つが機能しなくなったため、残りの二つの装置の出力を強め、光竜王を再度封じます」


 女王が説明する。


『その一つが機能しなくなった』って、俺が『燐光竜帝剣レファイド』を取りに行ったことが原因になってるんだよな……。


 ちょっと気まずい。


「その後に、機能しなくなった遺跡の装置を修復し、ふたたび封印を万全のものとする――これが作戦の概要です」

「なるほど、遺跡巡り……旅行みたいでちょっと楽しそう」

「観光にいくわけじゃないからな」


 ミラベルがつぶやき、俺が釘を刺した。




「遺跡巡り? 貴様らには無理だな」




 不意に、声が響いた。


「えっ」


 居並ぶ大臣の一人が進み出る。


「この国の大臣に姿を変え、監視していたが――我らが光竜王陛下をふたたび封じようとは……見過ごせんな」



 その口元にニヤリとした笑みが浮かんだ。


「お前は――」

「光竜王様の配下だ。再封印などさせん。この場で全員死ね!」


 敵が、こんなところにまで入り込んでいるのか――。

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