2 付与魔術について考察する
俺たちは馬車に乗り、ウラリス王国に向かっていた。
「以前、私の攻撃を防いだアイテム、今も持ってる?」
ミラベルがたずねる。
「加護アイテムか?」
「そう、それ。私の攻撃がまったく通じなかった」
「+10000の強化をしてあるからな、あれ。普通の攻撃はいっさい通らないと思うぞ」
「私もほしい」
「えっ」
「私も同じ加護アイテムがほしい。それがあれば無敵」
「まあ、そうだな」
「仲間のよしみで譲ってほしい。出世払いでいいから。ふふん」
「なんでドヤ顔なんだ」
俺は苦笑し、
「強化+10000の加護アイテムは俺しか使えないんだ。俺の付与魔術は、俺自身の持ち物に対しては+30000を上限として強化ポイントを付与で得きるけど、他者に対しては上限が+300になる」
「むむ……」
ミラベルが小さくため息をついた。
「もし、レインが持っている加護アイテムを私が盗むなり奪うなりしたら、私が+10000の加護アイテムを使える?」
「前にニーナに協力してもらって試したんだけど、俺の持ち物を他者に渡すと、その時点で強化ポイントが+300にまで下がるんだよな。だから、俺の加護アイテムをお前が手に入れたとしても、+10000の強化を付与された加護アイテムとしては使えない」
「うーん……残念」
「……もしかして、俺から盗むつもりだったのか」
俺はジト目でミラベルを見た。
「そこに気づくとは天才か」
「天才じゃなくても気づくだろ。お前の性格から考えれば……」
「そういえば……今も、剣に付与している強化ポイントは+10000なのですか、レイン様」
今度はリリィの質問だ。
「上限の+30000ではなく?」
「ああ、剣の耐久限界がどれくらいか分からないしな」
答える俺。
「ただ――マルチナの伝手で剣の鑑定をしてもらえそうなんだ。どれくらいの強化ポイントまでなら、この剣が耐えられるのかを教えてくれるかもしれない」
「なるほど……」
鑑定してもらい、武器の耐久を見切ることができれば、どれくらいの強化ポイントならOKなのかを見極められるかもしれない。
いや、あるいは――。
「『鑑定』ができるアイテムみたいなものがあれば、もっと適切なポイントを振れるんじゃないか?」
なんで今まで気づかなかったんだろう。
まあ、限界まで強化しなくても、ほぼすべてのモンスターを瞬殺してきたし、むしろ今でもオーバーキル気味なわけだけど。
でも、今回みたいに光竜王のような桁違いの敵と今後も戦うことがあるかもしれない。
より強力で、より適切に強化した武器や防具、アイテムを持つに越したことはないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます