追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?
1 捕らわれのバリオス、屈辱を受ける《追放者SIDE》
第7章 光竜王封印戦
1 捕らわれのバリオス、屈辱を受ける《追放者SIDE》
投獄されたバリオスの元に、冒険者の一団が面会にやって来た。
いずれも元『王獣の牙』のメンバーである。
「いいザマだな、バリオス」
「前々からお前は気に食わなかったんだよ。やたら偉そうにしやがって」
「ははは、いい気味だ!」
冒険者たちが嘲笑する。
「くっ……貴様らぁ……!」
バリオスは歯ぎしりした。
「俺たちは『王獣の牙』を出た後、Aランクのギルドに所属できたぜ」
「やっぱり元『ビッグ5』所属っていうネームバリューが効いたらしい」
「元メンバーの暗殺未遂なんてしたお前には再就職の口はないだろうけどな。『王獣の牙』を立て直すのも無理だろうし」
「まあ、せいぜいがんばれよ、ははは」
言うだけ言って、彼らは帰っていった。
「ちくしょう、あんな奴らに……」
ギルドマスターだったころは、彼らなど下っ端もいいところだった。
取るに足らない雑魚だ。
その雑魚どもに一方的に馬鹿にされ、蔑まれるとは……。
耐え難い屈辱だった。
バリオスは奥歯をかみしめ、全身を震わせる。
視線で人を殺せるなら、彼らなどすでに百回は殺しているだろう。
(おのれ……調子に乗りやがって……くそが……くそがぁぁぁぁぁぁっ!)
と、
「ほら、食事の時間だ」
看守がやって来た。
牢の隙間から係の者が食事の入ったトレイを差し入れる。
あいかわらず大した量もなく、しかもまずそうな食事だった。
とても食欲が湧いてこない。
「くそ、ギルドマスターのときは飽きるほど食えたのに……こんなまずい飯じゃなく、最上級のフルコースをいくらでも……くそぉぉぉぉ……!」
食事を終えて一時間ほど経ったが、怒りが収まらなかった。
頭の中では、先ほど冒険者たちから嘲笑や罵倒を浴びせられた場面が延々と繰り返されている。
「へえ、レイン・ガーランドってこの国の冒険者だよな? 勇者として認定されたのか」
「いや、あくまでも候補らしいが……それでも、この国の人間が勇者候補になること自体、五十年ぶりの快挙らしいぜ」
「すげーな、そのレインってやつ」
「我が国の誇り、ってやつだな」
看守たちの歓談が聞こえてきた。
「レインだと……!」
バリオスは歯ぎしりした。
片や、囚人として捕らわれている自分。
片や、勇者の候補としてもてはやされているレイン。
一体、どこで差がついてしまったのか……。
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