9 ウラリス王国へ


 俺たちはリリィと話していた。


「光竜王が復活する……!?」


 話を聞き終えたリリィが呆然とした顔でつぶやく。


「俺とマルチナ、それに君が持っている剣が再封印には必要らしいんだ」

「ええ。詳しくはウラリス王国で話すね。そのためにも――君の力を貸してほしいの、リリィ・フラムベルさん」


 と、マルチナ。


「レイン様は……光竜王を封印するために戦うのですか?」


 リリィが俺を見た。


「ああ。世界の危機らしいからな」


 あんまり実感がないのが本当のところだけど。


「分かりました。あたしも行きます」


 と、リリィ。


「い、一緒にがんばりましょうね、レイン様」


 俺を見つめる顔がなぜか赤い。


「じゃあ、決まりだね。すんなり『紅鳳の剣ミラーファ』の騎士が見つかってよかったよ」


 マルチナはほっとした様子だ。


「ちょっと待ったーっ」


 誰かが駆け寄ってきた。

 マーガレットだ。


「先輩が行くなら、俺も行くぜ!」


 あいかわらずの男言葉だった。


「マーガレット……?」


 俺は驚いて彼女を見つめる。


「俺だってA級冒険者になったんだ。足手まといにはならない! 連れていってくれ!」

「マーガレット、あなたは――」

「光竜王なんて巨大な敵と戦う先輩の姿を目に焼き付けたいんだ。頼むよ」


 懇願するマーガレット。

 どうもリリィをかなり尊敬しているみたいだから、同行したいんだろうか。


「どうする、マルチナ?」

「A級冒険者なら手伝ってもらえることもあるかもしれないね。分かった、いいよ」


 意外とあっさりOKした。


「じゃあ、さっそくだけど旅支度をしてもらえるかな? まずはウラリスへ。そのあとで封印のやり方について説明するから」


 マルチナが言った。


 ……というわけで、俺、ミラベル、マルチナ、リリィ、マーガレットの五人でウラリス王国へと向かうことになった。


 勇者を輩出した古き王国。

 そこで俺を待つものは、いったい――。


    ※


「剣が……反応している……!」


 男は手にした剣を見て、つぶやいた。

 精悍な顔立ちをした四十がらみの中年男だ。


 以前、とある武器商人から手に入れた無銘の剣。

 掘り出し物だったらしく、異常なまでの切れ味で多くの敵を両断してきた愛剣である。


 その剣が淡い光を放っていた。


「何かに反応しているのか……? いや、あるいは――」


 共鳴、か。

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