追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?
8 副ギルドマスターたち、路頭に迷う寸前《追放者SIDE》
8 副ギルドマスターたち、路頭に迷う寸前《追放者SIDE》
『王獣の牙』のギルドマスター、バリオスが捕縛された──。
それを聞いて、副ギルドマスター、グレンダ、コーネリアス、ゲイルの三人は『王獣の牙』に見切りをつけた。
そして、他のギルドでマスターか副マスター格で迎え入れてもらおうと再就職活動を始めた。
だが──、
「『王獣の牙』の副マスター? あそこって急に落ちぶれたところだろ? そこの副マスターって……落ちぶれる原因を作ったのは、あんたらじゃないのか?」
「い、いや、それは──」
「だとしたら、そんな疫病神、うちではいらないなぁ」
「ま、待って! あたしたちの話をもう少し聞いて──」
「どうぞお帰りを」
ぴしゃり、と言い放つ相手のギルドマスター。
「ぐっ……」
グレンダたちは引き下がるしかなかった。
「くそっ、これで十三件目……! 元『ビッグ5』の副マスターにこんな仕打ちを……許せない」
「ここまで門前払いが連続するとはな……」
「この先、どうするべきかの……」
三人とも困り果てていた。
再就職はもっとスムーズに済むものだと思っていた。
自分たちはかつての『ビッグ5』の副ギルドマスターなのだ。
輝かしい経歴だ。
どのギルドも大歓迎で自分たちをギルドマスターや副マスターとして雇ってくれる──。
そう軽く考えていた。
しかし、現実は思った以上に厳しいようだ。
最初に行った『ビッグ5』のギルドはこちらの話すら聞いてくれず。
次にAランクギルドをいくつか回ったが、どこも門前払い。
やむなくBランクのギルドに来たのだが、ここでもまさかの門前払いだった。
屈辱だ。
「レインが力を貸してくれれば……」
グレンダが唇をかみしめる。
先日、彼の元を訪ねたが、あえなく断られてしまった。
一介のギルド所属冒険者に過ぎなかった男が、自分たち副ギルドマスターの誘いをあっさり断るとは。
今思い出しても腹立たしい。
「くそっ、俺たちは天下の『王獣の牙』の副ギルドマスターだぞ! Sランクのギルドで幹部をやっていたんだぞ! たかがAランクやBランクのギルドごときが、俺たちを追い払いやがって……!」
コーネリアスが吠える。
「このままでは再起を図るのは難しいの」
ゲイルがため息をつく。
「再起を図るどころか……遠からず、生活費すらままならなくなるわね」
グレンダは目の前が真っ暗になるような絶望を覚え始めていた。
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