4 『星帝の盾』へ
「リリィさんは冒険者ギルド『星帝の盾』に所属しているのよね? じゃあ行きましょ、レインくん。合流出来たら三人で光竜王封印のために旅立ちよ」
「俺も行くのか?」
思わず聞き返してしまった。
いきなりの話の流れに、まだついていけてない。
まあ、突然『光竜王が復活します。世界の危機です』なんて言われても、実感がイマイチ湧かないんだよな……。
「っていうか、光竜王封印のために一緒に戦ってほしいの」
「あ、そういう流れか……」
「もちろん、すぐに答えは出ないと思う。相手は伝説の竜王。危険な戦いになるからね。だから、ゆっくり考えて答えを出してほしいの。ただ、この戦いには全人類の運命がかかってる。君が良い返事をくれることを」
「いいぞ」
「あたしは祈ってる。今代の勇者候補として──って、ええっ?」
俺の返事にマルチナは目を丸くした。
「い、いいの? え、でも、相手は伝説の竜王だよ? めちゃくちゃ強いよ?」
「やらないと世界がやばいんだろ? なら、やるしかない」
俺は言った。
突然の話に戸惑っただけで、別に怖気づいたわけじゃない。
それに──俺が持っているのは、ただの伝説の剣じゃない。
+10000の強化を施してある特製の『
いくら相手が光竜王でも、そうそう引けは取らないだろう。
というか、楽勝かもしれない。
俺は割と気楽に考えていた。
「えっ、『星帝の盾』に?」
「ああ、少しの間戻ってこられないかもしれない。旅になりそうなんだ」
いたずらに心配させたくないし、光竜王の件は伏せていた。
ちなみに、あの場で話を聞いていた冒険者も十数名いたけど、誰も本気にしていないようだった。
まあ、あまりにも突然の話だし、そもそも途中からは場所を移動して他に人がいないところで話したからな。
あと、ブリジットさんには念のために口止めしておいた。
彼女だけは他の冒険者たちと違って、俺たちの話を真剣に受け止めていたっぽかったから。
「……そう、ですか」
ニーナがしゅんとなっていた。
「寂しいです」
「あ、でも、用事を片づけたらすぐ戻ってくるよ」
「はい! 待っています」
俺の言葉にニーナがうなずく。
「待っています……!」
もう一度つぶやくニーナ。
「じゃあ、行くよ」
「あの──」
ニーナが懐から何かを取り出した。
「これは?」
「お守りです。レインさんを守ってくれるように……」
差し出す。
木でできた札のようだ。
「ありがとう。心強いよ」
俺はそれを受け取った。
後で強化ポイントを付与しておこう。
加護アイテムに加え、ニーナのお守りもきっと俺やミラベル、マルチナを助けてくれる──。
その後、ギルドマスターやバーナードさんにも挨拶し、俺は出発した。
ミラベル、マルチナとともに。
向かうは『星帝の盾』
リリィに会い、それから
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