7 共鳴


「大丈夫。私は殺人が好きなわけじゃない。依頼がなければやらない」

「もう暗殺者じゃない、って言うなら、依頼があってもやらないでくれ」


 俺はミラベルに念押しした。


「もし私が暗殺稼業を再開したら、レインは私を殺す?」

「えっ」

「それなら、やらない。自分の身が一番大事だもの人間だもの」

「お気に入りなのか、そのフレーズ……」


 まあ、彼女が暗殺稼業をやめてくれるなら、それでいいか。

 このギルドに現役の暗殺者が所属している、というのは、さすがにまずいからな。


「ああ、暗殺と言えば──」


 ブリジットさんが思い出したように言った。


「確か『王獣の牙』のギルドマスターが捕まったらしいね」

「っ……!?」


 俺は思わず息を呑んだ。

 それはつまり、ミラベルの証言によるものだろう。


「『王獣の牙』自体もかなり大変みたいだね。ギルド所属の冒険者が次々にやめてるとか」

「ああ、この間、副ギルドマスターたちに会って、話は聞いたよ。すでにギルドランク降格は確定的で、この先はもっと所属冒険者も減るだろう、って言っていた」


 まさに負の連鎖。

 今のままだと、遠からず『王獣の牙』は中堅──いや、弱小といえるレベルまで落ちていくかもしれない。


 正直、複雑な気持ちもある。


 あいつらは無報酬で俺に強化を散々やらせた上に、いざ十分と見れば、俺をあっさりとクビにした。

 利用するだけして、後はポイ──という感じだった。


 だから、俺は奴らの武器防具の強化を解除した。

 それが遠因でギルドの没落を招いたのだとしても、それは彼ら自身が負うべきものだ。


 後悔は、ない。

 ただ、ずっと過ごしてきた古巣だから、やっぱり愛着が完全に消えるわけじゃない。


「少し……寂しいな」


 俺はぽつりとつぶやいた。




 ヴ……ン!




 それは、唐突に起こった。


「な、なんだ……!?」


 俺の腰に下げた剣が──光っている。

 伝説級の剣、『燐光竜帝剣レファイド』。


 その刀身が、柄が、まばゆい輝きを放っている──。


     ※


 ヴ……ン!


 S級冒険者、『炎の聖騎士』リリィは、唐突な現象に戸惑っていた。

 彼女の持つ伝説級の剣『紅鳳の剣ミラーファ』が、突然まばゆい輝きを放ったのだ。


「これは、一体……?」

「リリィ先輩?」


 たずねたのは、彼女の後輩冒険者であるマーガレットだ。


「剣が、熱い──こんなの初めてよ……」


 何かに反応しているのか。

 あるいは何かに、


「共鳴、している……?」






***

『いじめられっ子の俺が【殺人チート】で気に入らない奴らを次々に殺していく話。』

https://kakuyomu.jp/works/16817139556336546394


『無能扱いで実家から追放された俺、実は最強竜王の後継者だった。竜の王子として、あらゆる敵に無双し、便利な竜魔法で辺境の村を快適な楽園に作り変えて楽しいスローライフを送る。』

https://kakuyomu.jp/works/16817330662240489582


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