2 暗殺者
「レインさん……!?」
ニーナが悲鳴を上げた。
「逃げろ!」
叫ぶ俺。
「あ、あの……」
「ここにいたら君も巻きこまれる! 俺は大丈夫だから、すぐに離れてくれ!」
正直、彼女が人質にでも取られたら、非常に厄介なことになる。
「わ、分かりました! あの……すぐに助けを呼びますから!」
俺の意図を汲んでくれたらしく、ニーナは一目散に走り去った。
暗殺者は、追わない。
かなりホッとした。
もしニーナの方を狙われていたら、どうなっていたことか。
「ターゲット以外の者を殺すことはしない」
暗殺者は俺の安堵を読み取ったように言った。
「そんなことより──今のは、確実にお前を殺せる一撃だった。それを受けて平然としているのは──なんらかの加護アイテムか」
「暗殺者にしてはよくしゃべるんだな」
俺はそいつを見据えた。
小柄な体格だ。
声はくぐもっていて、男とも女ともつかない。
年齢もよく分からない。
「お前に俺は殺せない」
「私はプロの暗殺者だ。ターゲットが誰であれ仕事を成し遂げるのみ──」
言って、ふたたび向かってくる暗殺者。
気配が、消える。
いつの間にか俺の背後に立った暗殺者が、ふたたびナイフを突き立てる。
さらに針のようなものも同時に──。
「毒か? 悪いけど、それも無駄だ」
「……どうなっている」
暗殺者はますます怪訝そうにつぶやく。
それからゆっくりと後ずさった。
「理解できないが、お前には不思議な防御法があるようだな」
「逃げる気か」
「私は別にお前と勝負をしているわけではない。計画通りに殺せないなら、計画を立て直すだけだ」
「逃がさない」
俺は懐に手を入れた。
「こういう武器もいちおう用意してるんだよな」
無造作に、投げる。
「っ……!?」
暗殺者の動きが一瞬、止まった。
俺が投げたのは、なんの変哲もないロープだ。
それが空中で生き物のように動き──、
「くっ……!?」
ロープはそいつに巻き付いて動きを封じた。
「ほ、ほどけない……だと……!?」
暗殺者がもがく。
「魔法の捕縛ロープ」
俺は暗殺者の前に立った。
「こいつの性能は通常の捕縛能力の10000倍だ。お前はもう動けない」
「おのれ……っ」
「誰に依頼されたんだ? 教えてもらうぞ」
俺は暗殺者のフードを取り去った。
素顔を見て、驚く。
「女の子……!?」
そう、その暗殺者の正体は──。
ニーナと同い年くらいの美しい少女だった。
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