追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?
1 メンバーの大量離脱が始まる《追放者SIDE》
第3章 さらなる躍進
1 メンバーの大量離脱が始まる《追放者SIDE》
『星帝の盾』のギルドマスターと会ってから一週間が過ぎていた。
その一週間で『王獣の牙』を取り巻く環境は激変していた。
「き、今日だけで四十人の脱退者がいるなんて! どうなってるのよ!」
副ギルドマスターの一人、中年女剣士のグレンダが叫ぶ。
普段は強気すぎるほど強気な女が、これほど取り乱しているのを見るのは初めてだった。
「くそっ、昨日も四十人近く脱退したんだよな!? 急にみんながここを離れるって、おかしいだろ、おい!」
怒声を上げたのは、野生的な風貌の戦士コーネリアス。
彼も冷静さを完全になくしているようだ。
「おのれおのれおのれおのれ……何がどうなっているのだ……うぐぐぐぐぐ、神よ……おのれぇっ……!」
顔を真っ赤にして怒りを抑えているのは、老僧侶のゲイルだった。
先ほどから僧侶にはあるまじきことに、神への悪態をついていた。
そして──ギルドマスターのバリオスは無言だ。
といっても、落ち着いているわけではない。
むしろ逆だ。
あまりにも急激なギルド崩壊に頭がパニックになっていた。
言葉が出てこないほどに──。
あああああああああああああああああああああどうすればいいどうすればいいどうすればいいどうすればいいああああああああああああああああああああ
頭の中が混乱と焦りと不安で埋め尽くされている。
と、
「マスター、ギルド連盟の方がお越しです」
「ギルド連盟だと?」
秘書が呼びに来て、バリオスは眉をひそめた。
嫌な予感がした。
この状況で連盟が『王獣の牙』にやって来るということは──。
「状況確認、か」
「ちょっと。確認だけで済むの?」
グレンダがたずねる。
「俺たちの状況を知られて、『ビッグ5』の認定を取り消されるなんてことは──」
「残念だが、現在の我らは戦力半減以下。とても最強ギルドの一角は担えんからの……」
コーネリアスとゲイルも弱気だ。
「くそっ、どうすればいいんだ……!」
バリオスは奥歯を噛み締めた。
呆然としたまま、頭が回らない。
「い、いや、まだだ。奴らの用事が何かは分からない。案外、俺たちの苦境を手助けしてくれるかもしれない……」
言って、バリオスは連盟職員の元に向かう。
「貴ギルドの状況は複数の関係機関からつかんでいます。我らの上層部からは、貴ギルドの『ビッグ5』認定を取り消すべきでは、という意見まで出ておりまして──」
連盟の人間から告げられたのは、淡い期待を打ち砕く一言だった。
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