第23話 「則天武后」というまやかし
歴史上において「女傑」と呼ばれる方は少なくないでしょうが、私がその言葉で真っ先に思い浮かべる方と言えば… やはり則天大聖皇帝(通称:則天武后、武后、武則天など。正式名に適当な略称が無いので、止むえず以下武后)になるでしょう。
中華帝国は建前上男尊女卑ではありますが、実質的な女性の権力者は紀元前の頃より数知れず。それこそ漢の呂后や清の西大后の様に、実質皇帝並みの権力を振るった方とて、中には見受けられます。
されど… 自らの王朝を建てて帝位に就いた、という事になれば、後にも先にもそれは武后のみです。
また、手先として活用した酷吏達だけでなく、狄仁傑のような諫言も厭わぬ名臣達をも数多く登用し国政を安定させた点なども、権勢欲だけでは無く政治家としての力量を見せた好事例と言えるでしょう。
無論武后には、権力の為には平気で我が子を犠牲にするといった非情さや、お気に入りの僧を侍らせ淫蕩に耽った、といった類の「悪行」も数多く伝えられています。
ただ正直これらには、「事実」に相当「悪意の粉」を塗していやしないか、といった
疑惑を昔から抱いているのも、多くの横紙破りを果たした武后への儒者達の感情を鑑みれば… また正直なところです。
なにせ唐を廃し、15年に渡り天下を統治した武后の周の年代を、年表上では何故か唐に包摂してしまったり、紛れもなく帝位についていた武后とその統治を「則天武后」「武后執政」といった、事実を含めど明らかに誤魔化しに塗れた表現で片づけたがる方達の語る姿なのですから…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます